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インバウンド最前線

電車来るまで「あと何分」 多言語対応、五輪へ進化 ビールは「JAPAN BRAND」でアピール

2019/4/8 日本経済新聞 朝刊

マツキヨHDは外国語の表記や説明を増やし、訪日客が商品を選びやすくする(18年5月、有楽町イトシアプラザ店)

2020年東京五輪・パラリンピックに向けて、日本企業が商品や交通案内などで訪日外国人(インバウンド)への言語対応を急いでいる。政府の掲げる目標では、20年の訪日客は4000万人にものぼる。各社は需要を取り込もうと、英語や複数言語の表記などに知恵を絞る。

マツモトキヨシホールディングスは20年までに、医薬品や日用品などプライベートブランド(PB)の全約2千種類で商品名に英語を併記する。医薬品では英語の説明も増やし、訪日客が店頭で目的の商品を選びやすくする。同社の免税売上高比率は約13%で、PBは小売事業の売り上げの10%を占める。

ドラッグストアではココカラファインも「通訳」の配置を進める。専用のタブレット端末を訪日客が多い10店舗で導入。テレビ電話で通訳につながり、訪日客の問い合わせに答える。英語、中国語、ロシア語など10カ国語に対応できる。5店舗では自動翻訳機の試験運用も始めた。

五輪を契機に海外販売に弾みをつけようと動く企業もある。アサヒビールは主力ビール「スーパードライ」のブランドスローガンを「THE JAPAN BRAND」と定め、それに合わせてパッケージデザインを変更した。18年秋から日本で販売する分を対象に、缶本体や6缶入りの外箱にスローガンを記載している。訪日客に日本製の質の高さをアピールする狙いだ。

同社グループはスーパードライを高級ビールとして海外に売り込んでいる。海外販売は18年に1128万ケース(1ケースは大瓶20本換算)と17年に比べて4%増えたもよう。訪日客にアピールし、海外での販売拡大を狙う。

アサヒビールはスーパードライの6缶入り外箱に「THE JAPAN BRAND」と表記し始めた

鉄道各社は駅構内での多言語対応を進めている。ダイヤの表示器や放送では英語以外に中国語や韓国語で案内するケースが増えてきた。最近は電車の運行で異常が起きた場合の情報提供を充実させようとする動きも出始めてきている。

羽田空港と都心をつなぐ京浜急行電鉄。電車の運行で異常が発生した際、ホームページ上で英語、中国語、韓国語の3つの言語でも知らせるサービスを2月から始めた。事故や悪天候などが理由で運行に支障が出た場合、影響区間と遅れや運休について知らせるようにしている。

多言語対応が進んでいるのが東京地下鉄(東京メトロ)だ。銀座線の駅構内の表示器では電車の到着時刻ではなく、「あと何分」といった案内を導入した。こうした表示は海外では一般的だ。銀座線の電車運転間隔が一定で、約3分と短いことが導入の背景になった。

東京メトロ銀座線は到着までの時間を表示する

外国人向けに記号や数字を使う案内手法もある。JR東日本は駅構内で新型表示器の導入を進める。駅名と路線名をアルファベットと各駅の番号で示す「駅ナンバリング」も表示するようにしており、京浜東北線の蒲田駅(東京・大田)では新型を導入済み。ナンバリングを採用することで訪日外国人にとって行き先が分かりやすくなる。

18年の訪日外国人は前年比8.7%増の3119万人を記録した。20年以降は東京五輪の開催を機にさらに弾みがつく見通しだ。過去20年間の五輪開催国は開催年より外国人観光客が増えているという。小売りや鉄道で進む多言語化は、日本の国際化のスピードを速めることになりそうだ。

[日本経済新聞朝刊2019年3月17日付朝刊を再構成]

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