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ジャマイカから奄美まで味多彩 首都圏のキッチンカー

2019/3/24

奄美料理を看板にする「Tsumugu Amami」

鶏飯は、鶏肉のほか、錦糸卵、干しシイタケの甘煮、パパイアの漬物、タンカンの皮など7種類の具材をご飯にトッピングし、鶏ガラスープをかけて食べる料理。具材を作るのに時間がかかるためもともとはおもてなし料理だが、「Tsumugu Amami」では喜入さんが母親から聞いたレシピをベースに研究を重ねて作り上げたこれを出す。「よりおいしいものを出したいという気持ちがあるので、今もレベルアップしているんです」と言う。和食店で約8年経験を積んだ喜入さんが作った鶏飯は錦糸卵の舌触りが驚くほどよく、素材の一つひとつを丁寧に作っていることが伝わってくる。

同店には「豚骨(わんほね)ご飯」というメニューもあり、こちらは女性に非常に人気が高い。「豚骨」は塩漬けにした骨付き豚肉で奄美では大みそかに食べる料理でもある。「Tsumugu Amami」では骨付き豚バラと軟骨という2種類の豚肉を合わせ盛るが、これは肉の味が際立つバラ肉と脂たっぷりでトロトロの軟骨という、異なる味を楽しんでもらいたいと考えているからだ。6時間ほど煮込んでいるため、いずれもホロホロと箸でくずれる軟らかさ。これに添えられた豚のうま味を含んだ煮ダイコンやアオサを入れた出し巻き卵も丁寧な味わい。夢は、奄美に帰り、料理自慢のリゾート施設を開くことだという。

「奄美鶏飯」(レギュラーサイズ、700円) 左のスープをご飯にかけて食べる

ところで、キッチンカーの増加の背景には、事業主と出店スペースの所有者をつなぐビジネスの登場がある。「ネオ屋台村」と銘打ち、いち早く仲介業ビジネスに乗り出したのはWorkstore Tokyo Do(ワークストア・トウキョウドゥ、東京・大田)。2003年に大手町の東京サンケイビル前にキッチンカーを集めた「大手町サンケイビル村」をスタートさせた。通り道にすぎなかった有楽町の東京国際フォーラムのビルとビルの間の広場をキッチンカーが集まるエリアとして開発したのも同社だ。

2016年には、キッチンカーの事業主と空きスペースをマッチングするサービス「TLUNCH(トランチ)」を展開するMellow(メロー、東京・渋谷)が創業。創業メンバーの1人は、「ネオ屋台村」事業を手がけてきた石澤正芳さんだ。同社は売り上げや出店スケジュールなどを管理する独自システムによってデータを分析。事業主への情報フィードバックや配車の最適化などを行い、キッチンカーの出店場所の増加も加速した。3年前に管理地ゼロからスタートした同社だが、現在メローが管理する出店スペースは1都3県で約130台分にもなり、今も月に10件以上スペース活用の相談があるという。

ワークストア・トウキョウドゥも都内を中心に約80台分のスペースを管理。以前は路上での無許可販売が多く見られたが、仲介業者も増え影をひそめた。今や「個人で営業している場所も含めれば、都内だけでキッチンカーの営業場所は200~300台分あるのでは」(ワークストア・トウキョウドゥの小田川雄大さん)という。同社やメローは曜日などで事業者を入れ替えているため、同じ場所に通っても毎日違う料理が食べられる。これも、キッチンカーに人気が集まる大きな理由だろう。

かつては固定店舗を持つ足がかりとして初期投資の少ないキッチンカーをまず出店するという人が多かったそうだが、「今は、そもそもキッチンカーという営業スタイルが自分に合っていると考える人が少なくない」(石澤さん)という。「キッチンカーが出すのは簡単な料理で、本格的な料理を食べたいならやはり固定店舗」というイメージを持つ人もいるが、人気店の料理へのこだわりはハンパなく、昼の2時間ほどで100食を売り上げる。

キッチンカーの出店スケジュールは各社のウェブサイトなどで確認できる。メローは自分がいる場所の近くにあるキッチンカーも検索できるスマートフォンアプリを提供。これと思う店を探し出す利便性も高まっている。

さて、ビジネスパーソンとキッチンカーの接点と言えば圧倒的に平日の昼が多いが、実はメローは朝や夜の時間帯での営業の拡大も視野に入れている。試験的に、3月25日からは自社のキッチンカーによる夜営業のおでん店、4月からはコーヒーとエナジードリンクの店がそれぞれ都内で営業を始める。これからは、夜飲みもキッチンカーの店へという時代がくるかもしれない。

(注:出店場所は取材時、価格はすべて税込み)

(フリーライター メレンダ千春)


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