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ジャマイカから奄美まで味多彩 首都圏のキッチンカー

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「ランチ難民」の救世主としてビジネス街に現れる移動販売車、キッチンカー(フードトラックとも呼ばれる)が大きな注目を集めている。かつてはイベント会場で見ることが多かったキッチンカーも、近年は平日のランチ時に首都圏のあちこちで見かけるようになった。「手ごろな値段でおいしいものを食べたい」というビジネスパーソンのニーズをつかみ、人気の店にはずらりと人が列をなす。

ここでは、様々なジャンルの人気3店に注目、その一端を紹介しよう。

まずは「唐揚げでもなくフライドチキンでもない」揚げ鶏を看板にした「ロケットチキン」。東京・JR御茶ノ水駅前などに出店する。「唐揚げを食べたいというときに選択肢に入るようではダメで、『あれが食べたい』と思う一品にしなければ」と、和食と洋食それぞれの分野で料理人として経験を積んできた2人が1年かけて開発した。

衣は驚くほど軽くサックリ。その軽快な食感とは対照的に、国産鶏を使った肉は軟らかくしっとりしている。10数種のスパイスにじっくり漬け込み、ジューシーさを逃さないように油で揚げるのがおいしさの秘けつ。上にかかったタルタルソースも手作りで、使われているピクルスも自家製なので、「素材作りから考えると出来上がるまでに約1カ月かかる」(運営会社Swells Works社長の中島拓也さん)そうだ。

同社は神奈川県内にロケットチキンを看板料理とする固定店舗を2店構えるが、昨年からキッチンカーでも営業を始めた。揚げ鶏というとどちらかというと男性好みのメニューにも思えるが女性客の多い店で、開店したばかりの店を見ているとずらっと並んだ客のほとんどが女性。取材時にも「女性に喜んでもらえるよう料理に添えるサラダに使う野菜の種類を増やしたい」(中島さん)などと話し、提供料理の進化に余念がない。

ご飯に合う料理として開発した「ロケットチキン」は、固定店舗では白飯に合わせていたが、キッチンカーで営業を始めてから新たに「これと合わせるのがベスト」というターメリックなどを使った黄色いご飯を開発。移動販売車では出店場所によって客層が変わるため、それがメニュー作りに大きなプラスとなっているようだ。「将来的には海外にも打って出たい」(中島さん)と大きな目標を見据える。

キッチンカーには、珍しい海外の食を扱う店も多い。

「この料理なら、自分が東京で一番おいしい料理を提供できる」――。そう考え、カリブ海に浮かぶ島国ジャマイカの名物料理ジャークチキンで勝負するのは「アイランドキッチン」の店主、杉崎佑樹さんだ。ジャークチキンは下味を付けた鶏を蒸し焼きにした料理。現地では屋台からレストランまで様々な店のメニューに並ぶ。

有名和食店、ホテル インターコンチネンタル 東京ベイの「分とく山」などで料理を学んだ杉崎さん。ニューヨークやジャマイカで働いた経験もあり、30歳での独立を考えたとき、看板メニューとして頭に浮かんだのがジャークチキンだったという。「焼き鳥に似ていて、今は知る人が少なくても、広がる可能性のある料理だと思った」(杉崎さん)。

下味にタイムとオールスパイスを使うほかは現地でも各店で味付けが異なるというジャークチキン。「アイランドキッチン」では、隠し味にしょうゆを加えている。現地で一番おいしいと思った店で、これを多めに使っていると聞いたからだ。肉はニンニクやショウガ、タマネギ、長ネギ、セロリなどを使ってマリネ。マリネにはパイナップルも使うため、その酵素の働きで肉がとても軟らかく仕上がるという。

同店では、あらかじめ火を通しておいた肉を客の前で温め表面をパリっと仕上げる。基本的には火が通りすぎないよう低温で鍋で温めるのだが、炭火を使える出店場所ではこれを用いる。小さな車の中に備えつけた炭火焼きの網から煙が上がる様子はライブ感たっぷり。

現地では最後にケチャップやタバスコをかけて食べるというが、杉崎さんはケチャップベースのオリジナルソースを作り肉に合わせる。定番の鶏のほか、牛バラ肉や豚肩ロース版もあり、「全部のせ」を食べてみると、さっぱりとしたチキン、とろりと軟らかい豚肉に肉々しさが際立つ牛肉とそれぞれ食感・味わいが異なりぜいたくこの上ない。好みで生と乾燥トウガラシを使った手作りのチリソースをかけるのだが、酢が入っているのでピリッと辛いだけでなくさっぱりとした味わいに。

肉を載せるご飯にも工夫を欠かさない。炊き込みご飯の方が合うと、ターメリックとクミンを使ったイエローライスや、ジャマイカの豆ご飯「ライスアンドビーンズ」風のものなどいくつかのパターンを用意している。様々な場所で営業するキッチンカーでの経験を生かして、いずれはこれと思う場所に固定店舗を開きたいと杉崎さんは考えている。

一方、昨年より営業を始めた「Tsumugu Amami(つぐむ あまみ)」は、南国奄美の料理を出すキッチンカーだ。奄美出身の喜入陽明さんが夫婦で店を営む。

看板料理を奄美料理としたのは、「自分にしかできない」という自負に加え、多くの食が集まる東京でも故郷の料理を知らない人が多いと感じたからだ。「奄美には、『鶏飯(けいはん)』という代表的な料理があるのですが、最近人気のシンガポール料理の『海南鶏飯(ハイナンジーファン)』は知っていても奄美の鶏飯は知らなかったりする。移動販売のキッチンカーならば、広く人に故郷の料理を伝えることができる」と喜入さんは言う。

鶏飯は、鶏肉のほか、錦糸卵、干しシイタケの甘煮、パパイアの漬物、タンカンの皮など7種類の具材をご飯にトッピングし、鶏ガラスープをかけて食べる料理。具材を作るのに時間がかかるためもともとはおもてなし料理だが、「Tsumugu Amami」では喜入さんが母親から聞いたレシピをベースに研究を重ねて作り上げたこれを出す。「よりおいしいものを出したいという気持ちがあるので、今もレベルアップしているんです」と言う。和食店で約8年経験を積んだ喜入さんが作った鶏飯は錦糸卵の舌触りが驚くほどよく、素材の一つひとつを丁寧に作っていることが伝わってくる。

同店には「豚骨(わんほね)ご飯」というメニューもあり、こちらは女性に非常に人気が高い。「豚骨」は塩漬けにした骨付き豚肉で奄美では大みそかに食べる料理でもある。「Tsumugu Amami」では骨付き豚バラと軟骨という2種類の豚肉を合わせ盛るが、これは肉の味が際立つバラ肉と脂たっぷりでトロトロの軟骨という、異なる味を楽しんでもらいたいと考えているからだ。6時間ほど煮込んでいるため、いずれもホロホロと箸でくずれる軟らかさ。これに添えられた豚のうま味を含んだ煮ダイコンやアオサを入れた出し巻き卵も丁寧な味わい。夢は、奄美に帰り、料理自慢のリゾート施設を開くことだという。

ところで、キッチンカーの増加の背景には、事業主と出店スペースの所有者をつなぐビジネスの登場がある。「ネオ屋台村」と銘打ち、いち早く仲介業ビジネスに乗り出したのはWorkstore Tokyo Do(ワークストア・トウキョウドゥ、東京・大田)。2003年に大手町の東京サンケイビル前にキッチンカーを集めた「大手町サンケイビル村」をスタートさせた。通り道にすぎなかった有楽町の東京国際フォーラムのビルとビルの間の広場をキッチンカーが集まるエリアとして開発したのも同社だ。

2016年には、キッチンカーの事業主と空きスペースをマッチングするサービス「TLUNCH(トランチ)」を展開するMellow(メロー、東京・渋谷)が創業。創業メンバーの1人は、「ネオ屋台村」事業を手がけてきた石澤正芳さんだ。同社は売り上げや出店スケジュールなどを管理する独自システムによってデータを分析。事業主への情報フィードバックや配車の最適化などを行い、キッチンカーの出店場所の増加も加速した。3年前に管理地ゼロからスタートした同社だが、現在メローが管理する出店スペースは1都3県で約130台分にもなり、今も月に10件以上スペース活用の相談があるという。

ワークストア・トウキョウドゥも都内を中心に約80台分のスペースを管理。以前は路上での無許可販売が多く見られたが、仲介業者も増え影をひそめた。今や「個人で営業している場所も含めれば、都内だけでキッチンカーの営業場所は200~300台分あるのでは」(ワークストア・トウキョウドゥの小田川雄大さん)という。同社やメローは曜日などで事業者を入れ替えているため、同じ場所に通っても毎日違う料理が食べられる。これも、キッチンカーに人気が集まる大きな理由だろう。

かつては固定店舗を持つ足がかりとして初期投資の少ないキッチンカーをまず出店するという人が多かったそうだが、「今は、そもそもキッチンカーという営業スタイルが自分に合っていると考える人が少なくない」(石澤さん)という。「キッチンカーが出すのは簡単な料理で、本格的な料理を食べたいならやはり固定店舗」というイメージを持つ人もいるが、人気店の料理へのこだわりはハンパなく、昼の2時間ほどで100食を売り上げる。

キッチンカーの出店スケジュールは各社のウェブサイトなどで確認できる。メローは自分がいる場所の近くにあるキッチンカーも検索できるスマートフォンアプリを提供。これと思う店を探し出す利便性も高まっている。

さて、ビジネスパーソンとキッチンカーの接点と言えば圧倒的に平日の昼が多いが、実はメローは朝や夜の時間帯での営業の拡大も視野に入れている。試験的に、3月25日からは自社のキッチンカーによる夜営業のおでん店、4月からはコーヒーとエナジードリンクの店がそれぞれ都内で営業を始める。これからは、夜飲みもキッチンカーの店へという時代がくるかもしれない。

(注:出店場所は取材時、価格はすべて税込み)

(フリーライター メレンダ千春)

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