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キャリア

製薬→塩、農学→料理研究 リケジョ、専門超えて開花

2019/3/19

試験管で国内外の塩を販売する田中さん(東京都品川区)

理系の素養をいかして多彩なキャリアをひらく「リケジョ」の活動が目立ってきた。起業したり芸術の世界で知見を発揮したりすることで、キラリと光る独自の進路を切り開いている。専門分野の垣根を越えて開花する姿を追った。

■製薬会社で開発職→塩で起業 田中園子さん

食べ歩きで有名な東京都品川区の戸越銀座商店街に塩の専門店「solco」がある。目を引くのは整然と並ぶ細長いガラス管。通常は微生物の培養に使う実験用の試験管を塩の容器に転用している。

代表を務める田中園子さん(46)は東京工業大学で微生物の進化を研究した。「塩の個性を打ち出すには試験管が最適」。約40種類以上の塩が並ぶが、シンプルなガラス管のなかで、色や形などそれぞれの塩がもつ特徴が際立つ。

田中さんは大学院を修了後は外資系の製薬会社に入社して開発職に就いた。日本で新薬を販売する前に安全性などを詳しく調べる仕事で、病院から丹念に情報を集めて副作用などを分析する。患者に新薬を届ける仕事にやりがいを感じていた。

一方、学生時代からいつかは起業したいという思いもあった。転機は旅行で訪れた宮城県石巻市。偶然に入った土産店で「伊達の旨塩」に出合い「濃いうま味に衝撃を受けた」。本格的に学ぶために民間資格「ソルトコーディネーター」を取得し、旅行の翌年の2014年に開業した。

店内では全ての塩を試食できる。容器の横には名刺ほどの大きさの紙が貼ってあり、製法や相性が良い食材などの特徴が詳しく書かれている。田中さんは「生産者の思いを届けたい」と目を輝かせる。現地に直接赴いて集めた情報は、料理人などのプロも舌を巻く。実績が評価され、個人客に加え全国の飲食店やホテルにも販路が広がった。製薬会社の開発などで培った分析力が店づくりを支えている。

■農学専攻→「科学する料理研究家」 平松紘実さん

「科学する料理研究家」としてコラム執筆やレシピ開発などを手掛ける平松紘実さん(30)は京都大学で農学を学んだ。食品科学などの講義で料理に興味をもち、食品関連の本を読みあさった。ブログに科学の視点でレシピを解説した記事を載せると文系の友人も興味をもってくれた。「料理に必要なのは仕組みと理由を知ること」。例えば、青魚に酒をふるのは、アルカリ性のにおい成分を酸性の酒で中和させ打ち消すためだ。料理で科学の楽しさを伝えられると気づいた瞬間だった。

学部時代に学生らが新刊のアイデアを競う「出版甲子園」に応募。優勝して料理本を出版する機会をつかんだ。この活動が評価され、大学を卒業するときには母校の総長賞を受賞した。

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