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ニシン飯寿司やサメなます… 滋味深い津軽の伝承料理

2019/3/23

旬に取れたものは、塩蔵や日干しにしておいしさを封じ込める。マダラやニシンなど、魚もまたしかり。冬場は、その保存食が花開く季節。戻すには手間ひまかかるが、しっかり栄養補給ができる上、凝縮したうまみが立つ。

「昔の料理はさほど味が濃くなかった」│年配者からそんな話を聞いたという工藤さんは、うまみ調味料の普及により、味のバランスを取るために、塩や砂糖が多用されるようになったのではないか、と推測する。

「ちゃんとした土地で育てた旬の食材を使えば、野菜からもうまみがしっかり出て、調味料が控えめであったとしてもおいしい」

写真の「冬のもてなし膳」はイベント時の特別メニューだが、みちのくでも季節が変わりつつある3月半ばの今は、これら冬の料理と早春の食材を使う料理を組み合わせた食事を出しているという。

「味つけは味見をしながら、その日に合わせてあんばいを決める。だから家庭料理は毎日食べても飽きないのだと思う」。津軽だけに限らない、家庭の味の本質を表す言葉も胸に刻みたい。

冬のもてなし膳の例 イベント時の特別メニュー
(写真左上から時計回りに)
・サメなます…津軽ではよく食べるサメの身とハラスをほぐし、大根と酢味噌でなますに仕立てた
・ニシンの飯寿司…塩3、麹(こうじ)5、米8で合わせた三五八(さごはち、万能調味料)に2~3カ月漬け込んだニシンの「いずし」をあぶった
・ばっけの白あえ…フキノトウの茎の部分を豆腐と白ゴマとクルミと味噌で白あえにした津軽の早春の味覚
・酢ダコの三色添え…3色の酢の物は津軽の祝い膳に付きもの。酢ダコ、菊の花、ホウレン草
・身欠きニシンの酢味噌あえ…半干しの身欠きニシンを酢味噌あえにした、津軽らしい酒の肴(さかな)
・なんば漬け…青唐辛子を麹としょうゆで漬けた酒の肴
(写真中央)
・ニンジンの子あえ…貯蔵して甘みの出たニンジンを、タラの卵と煮干しのだしでいり煮した津軽の冬の名物

※7~8品の料理にご飯、汁物が付く伝承料理のお膳は1500円(注文は4人から)。塩蔵品や乾物を戻すなどの準備のため、4日前までに要予約。弘南鉄道大鰐線石川駅から徒歩10分(青森県弘前市石川家岸44-13 電話0172・49・7002 月~水曜は休み)

(日経おとなのOFF2月号から再構成 文・山内 史子 写真・福知 彰子)

[日本経済新聞夕刊2019年3月16日付]

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