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財産管理を子らに託す「家族信託」 銀行が枠組み提案

2019/3/19

写真はイメージ=PIXTA

認知症になってしまった場合の財産管理の方法として「家族信託」に関心があります。一部の金融機関が家族信託の支援をしていると聞きましたが、どんなサービスなのですか。

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認知症になると、金融機関の窓口で本人名義の口座にある預貯金を引き出したり、自宅を売ったり、貸したりできない。こうした取引に必要な判断能力がないとみなされるからだ。家族らが家庭裁判所に「成年後見」を申し立てて後見人が付けば取引できるが、原則として生前贈与ができないなど制約がある。

そこで本人の判断能力があるうちに財産を信頼できる家族に託し、家族の判断で取引できるようにしておくのが家族信託だ。財産を託す「委託者」と財産から利益を得る「受益者」を高齢の親、財産を託されて管理する「受託者」をその子どもとする契約が多い。

オリックス銀行は2018年9月に「家族信託サポートサービス」を開始した。東京・銀座の店舗などで10人以内の少人数の預金者を対象に説明セミナーを継続的に開催。「参加予約はすぐにいっぱいになる」(信託部)という。

セミナーで関心を強めた顧客と専門の行員が2~3回、個別に面談したうえで家族信託が最善と判断すれば、具体的な信託契約のスキームを提案する。信託財産が1億円までなら費用は54万円。その後は提携する司法書士に案件を引き継ぐため、司法書士への報酬などが別途発生する。

家族信託は家族間の契約だ。金融機関は当事者ではないが、同行のほか広島銀行、武蔵野銀行、城南信用金庫などが有料でコンサルティングを手がけている。費用は広島銀行で54万円から、武蔵野銀行で81万円から、城南信金は信託財産の0.05%(税別)。

顧客の家族構成や相続の意向を聞き取ってスキームの大枠を固め、提携する弁護士、司法書士らが契約を公正証書などに仕上げる。

家族信託によって受託者に託された金銭は、「委託者A 受託者B 信託口」といった信託専用の口座で管理するとトラブルになりにくい。B名義の一般的な口座だと、Bが死亡して引き出せなくなったり、Bが破産して差し押さえられたりする恐れがある。

オリックス銀行、広島銀行はコンサルティングを利用しない顧客も無料で信託口の口座が開ける。

信託口をめぐっては、大手信託銀行の対応が分かれている。三井住友信託銀行は、司法書士など専門職が作成した公正証書がある顧客に限り、内容を審査したうえで信託口を開設する。

一方、みずほ信託銀行は「既存顧客に限り、個別に相談に応じている」という程度。三菱UFJ信託銀行、りそな銀行は原則として家族信託契約の信託口は受け付けていない。

[日本経済新聞朝刊2019年3月16日付]

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