検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

MeではなくYou 引っ掛かる曲名の妙(川谷絵音)

ヒットの理由がありあまる(8)

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

実はこの連載、音楽を作るよりはるかに筆が重くて…。他のアーティストの曲なので、中途半端には書けないんですよね。そんな話はさておき、今回はOfficial髭男dismの『Stand By You』です。

彼らのことは割と前から知ってはいたのだが、"歌と演奏がうまいバンド"としてだけ認識していた。正直なことを言うと、歌声を加工するオートチューンの使い方やアレンジの今っぽいだけな感じが好きじゃなかった。そんななか、最近よく配信チャート上位にあがっている『Stand By You』を聴いてみたところ…、すみません、すごく良く出来た曲でした!

歌も演奏ももちろんうまいのだが、メロディーがめちゃくちゃ良い。サビの「Stand By You」という繰り返しも、安易にメロディーが上がっていかず、「You」にかけて下がるメロディーになっていて良い意味で裏切られた。そして、その後の「Oh Oh」の部分がサビの第2段階になっていて、さらに盛り上がる流れを作っている。「Oh Oh」という合唱ワードをサビで大々的に使うと、その「一緒に歌おうぜ感」に拒絶反応が出てしまいがちなのだが、この曲にはそれがない。ダサくないのだ。なぜか。それは最近僕がよく言っている「歌のカロリーの低さ」だ。さらっと高いキーをミックスボイスで出しており、一緒に歌おうぜ的な押し付けがましさが全くない。何も強制されることなくリスナーになれるわけだ。

CDが売れなくなり、今やアーティストの収入源はライブに移り変わった。その影響で、ライブで盛り上がることを意識した楽曲が増えている。だから家で音楽を聴いていても、無理やりライブ空間に参加させられている気になることが多い。そう、その最たる押し付けがましさが「リスナーも歌ってくれよ」と言わんばかりの、無駄な歌の熱量と「Oh Oh」のような合唱ワードだ。感情を曲に込めた熱量とは違う、明らかにライブを意識したであろう熱量。また、ライブを意識する以外にも、圧倒的に技術がないバンドやアーティストは熱量でごまかすしかない。でも彼らにはしっかりとした技術がある。だから無駄な熱量が音源にないのだ。

最後のサビは転調して高い「シ」の音になるのだが、裏声にならずに楽々と歌っている。男性のキーではほとんどの人がきれいに出ない音だ。それをボーカルの藤原くんは、低いキーの時と変わらない声の状態で出している。声質や歌い方はワンオクのtakaくんに少し近いものを感じる。前回のback numberの記事でも書いたが、こんな簡単に歌われると自分でも歌える気がするのだが、実際に歌うとすごく難しい。そんなことを微塵も感じさせない余裕が藤原くんの歌にはある。

他にも、ギターがサビ裏でこれでもかとずっと弾いている、繰り返しの「タッタッタータッタッター」のスタッカートのフレーズがめちゃくちゃ頭に残る。ギターフレーズまで歌ってしまいたくなるほどだ。まさに繰り返しの美学と言えよう。

あと「Stand By You」ってフレーズが意外とあんまり聞いたことなかったなと。「Stand By Me」が有名すぎたからだとは思うが、「Stand By You」というフレーズは盲点だった。「Me」じゃなく「You」というところにそもそも引っ掛かりがあったわけだ。「あれ?」と思わせたら音楽は勝ち。というのも、聴いてもらえる引っ掛かりは、曲名にもあるからだ。

ストリーミングで音楽を聴く人が増えた反面、音楽はスクロールされるものになった。そんな中で曲名に対する引っ掛かりは、スクロールの指を止める大事な要因だ。ゲスの極み乙女。の『私以外私じゃないの』も『ロマンスがありあまる』も引っ掛かりがあるでしょう。「曲名=サビ」なことも多いため、曲名に引っ掛かりがあるということは、サビでも引っ掛かるということだ。当初はこの曲を連載用に聴いていたが、気付けば毎日聴いている。僕の新たなカラオケのレギュラー曲になりそうだ。

川谷絵音
1988年12月3日生まれ、長崎県出身。ゲスの極み乙女。、indigo la End、ジェニーハイ、ichikoroといったバンドのボーカルやギターとして多彩に活動中。ゲスの極み乙女。が結成7周年を記念して、5月12日に豊洲PITでワンマンライブを開催する。

[日経エンタテインメント! 2019年3月号の記事を再構成]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_