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なやみのとびら、著名人が解決!

片付けは全て専業主婦の仕事ですか? 作家、石田衣良さん

2019/3/21

作家。東京都生まれ。2003年「4TEENフォーティーン」で直木賞。石田衣良のブックサロン「世界はフィクションでできている」主催(https://yakan-hiko.com/meeting/ishidaira/top.html)。

出したら出しっ放し、開けたら開けっ放し、脱いだら脱ぎっぱなし。こんな夫に注意すると、「君が片付ければいい。専業主婦でしょ。それが仕事でしょ」。モヤモヤを感じつつ言い返せません。夫の言う通りでしょうか?(東京都・女性・40代)

世のなかには恐ろしく強気な男性がいるものです。ぼくは自分で散らかした本や服などは、自分で粛々と片づけます。あなたの夫のように「君の仕事でしょ」なんて、妻にやらせるなど想像もつきません。だって怖いもんね。無理無理。

さて、夫はあなたと同じ40代でしょう。とするとあと10年もたてば定年退職が見えてくる。開けた戸も閉めない、脱ぎ散らした下着や靴下を洗濯機にもいれない男が、一日中家にいるというテロ寸前の日常がやってくるのです。あなたはそんな生活に耐えられるでしょうか。

もちろん耐えられるはずがない。これは今この文章を読んでいる全国の読者の大合唱だと思ってください。そんなの絶対無理。だとしたら、きたるべき大惨事を未然に防ぐため、今日から夫のしつけを始めるべきです。

男尊女卑が沁(し)みついた彼にフェミニズム的なアプローチは向いていません。それよりも自分の身になにかあったときのため、あなたにも簡単な家事を覚えてほしい。あなたのことが心配だから。涙目の芝居を打って、すこしずつ掃除洗濯料理を教えていきましょう。敵は頑固ですから、ペットに芸を仕込むくらいのつもりがいいでしょう。なだめて、ほめて、ご褒美をやって、忍耐強い取り組みが必要になります。

それでも夫に通じなければ、実力行使です。1週間ほど実家に帰るか友人のところに泊まり、ひとりで家事のすべてをやらせてみればいいのです。どれだけたいへんなことか、はっきりと鈍い夫にも理解できるはずです。家事の対価は年収にして300万~400万円、すべてをプロに頼むとしたら1千万円を超えるともいわれています。

自分は外で金を稼いでいるからという言い訳を相手に許してはいけません。夫の仕事を支えるには、妻の働きも欠かせない。それが家族というものです。

あなたの闘いは困難なものになるでしょう。敵は夫だけでなく、夫をそういう風に育てた母親も含まれます。ですが問題は人生の後半40年を超えるかもしれない夫婦生活の質に関わるのです。あきらめずに粘り強くいきましょう。まあ開けた戸を閉めろとか、脱いだ下着は洗濯機へなんて、大の男に教えるのは、実に馬鹿(ばか)らしいけどね。お疲れさま、健闘を祈ります。

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[NIKKEIプラス1 2019年3月16日付]

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