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「担担混麺 紅麗」の「担担混麺」

さて、「紅麗」が提供するのは、東京都北区東十条の超人気店「麺処ほん田」の人気限定メニュー「汁なし担々麺」に、さらなる磨きを掛けた1杯。味の方もお墨付きなのだ。

「『汁なし担々麺』の『汁なし』という言葉の語感に違和感を感じ、商品名を『担担混麺(たんたんまぜめん)』としました」

メニュー名にすら妥協を許さないストイックな姿勢。そこに、「フードトラックでの提供だから少しぐらい手を抜いても構わないだろう」といった甘えが介在する余地はない。もちろん、完成品もトラックまで客が出向き受け取る「セルフ方式」でなく、スタッフが客のいる場所まで持ってきてくれる。食べ手に労力を使わせない客本位のオペレーションが徹底されている。

そのような感覚で創り上げられる「担担混麺」(850円)のクオリティーの高さは当然のことながら、一般的にイメージされるフードトラックのB級グルメとは別次元のものだ。

芝麻醤(チーマージャン)・ひき肉・タレはもちろん、既製品で間に合わせがちなラー油に至るまで、全てが自家製。熟成期間が異なる2種類の豆板醤(トウバンジャン)を用い、奥行きと厚みのあるうま味を創り上げるなど、実力店「ほん田」ならではギミックもしっかりと継承している。

フードトラックでラーメンを提供するのは珍しい

「ラー油は複数の唐辛子&スパイスに香味野菜を調合したものです。軽薄でないうま味を生み出すため、数え切れないほどの研究と試作を重ねました」。すさまじいこだわりようだ。

ラー油や唐辛子に由来する「辣(ラー)」の辛みと、中国山椒(サンショウ)・山椒油に由来する「麻(マー)」の辛みを掛け合わせた汁なし担々麺は、今やそれほど珍しい存在ではない。しかしながら、「麻」のしびれにかき消されないだけの香りを持つ山椒を厳選する、担々麺の味の要である「黒酢」を本場・中国から取り寄せる、など、「もうひと工夫」を着実に施すことで、名店「ほん田」の顔が見える1杯を提供することに成功している。

合わせる麺もまた秀逸だ。モッチリとした食感と滑らかなすすり心地が印象深い「心の味食品」(製麺業者)の中太ストレートを採用。担々ソースをしっかり絡め取り、適量を的確に口元へと運び込む見事な仕事ぶり。

頭上に空が広がる開放的な空間で、こんな逸品が堪能できるなんて!

銀座ラーメンシーンの奥深さを再確認できたような気がした。

(ラーメン官僚 田中一明)

田中一明
1972年11月生まれ。高校在学中に初めてラーメン専門店を訪れ、ラーメンに魅せられる。大学在学中の1995年から、本格的な食べ歩きを開始。現在までに食べたラーメンの杯数は1万4000を超える。全国各地のラーメン事情に精通。ライフワークは隠れた名店の発掘。中央官庁に勤務している。
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