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旅・風景

水辺に浮かぶ家々 色彩豊かなベトナム移民の暮らし

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/3/24

ナショナルジオグラフィック日本版

漁網の修理をするイェンさん。カンボジアに暮らすベトナム移民のほとんどは国籍を持っておらず、市民権を証明する必要のない水上に居住区を築いている(PHOTOGRAPH BY ALINA FEDORENKO)

「私には生まれ育った家というものがありません」と話す写真家アリーナ・フェドレンコ氏は、自らも複雑なルーツをもつ。その氏が撮影したのが、カンボジアのトンレサップ湖とそこから流れる川で暮らす、無国籍のベトナム移民たちの家々だ。彼女の撮影テーマとともに、人々の暮らしを見ていこう。

◇  ◇  ◇

シングルマザーのフェドレンコ氏は2016年、小さな息子ロメオ君と一緒にカンボジアを旅行した。そしてタクシーに乗っているとき、水に浮かぶ家々を見つけた。フェドレンコ氏は興味をそそられるとともに、国がない人々の気持ちも理解できた。そこで、ロメオ君と一緒にその場所を再び訪れ、4日間かけて写真を撮影した。

撮影者であるフェドレンコ氏の息子、ロメオ君(右)。カンボジアの小さな家にて(PHOTOGRAPH BY ALINA FEDORENKO)

撮影対象となった無国籍のベトナム移民たちの家が湖や川の上にあるのには理由がある。市民権を証明する必要がないからだ。

家の所有者たちは心が広く、穏やかな人柄だったため、すぐに受け入れてくれたと、フェドレンコ氏は振り返る。しかも、背中や傍らにロメオ君がいたおかげで、「人々は私を信頼してくれました。私たちには共通点があったのだと思います」

フェドレンコ氏の両親は旧ソビエト連邦の出身で、1991年にドイツのベルリンへと移住した。その後、故郷はウクライナという独立国家となった。そんなフェドレンコ氏のテーマは「家」だ。

トンレサップ湖に浮かぶ2つの家(PHOTOGRAPH BY ALINA FEDORENKO)

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