今では当たり前となった「クールビズ」がスタートしたのは、小泉政権下の2005年のこと。時を経て2019年現在、ビジネスシーンのカジュアル化は、15年前には予想だにしなかったほどに進行した。
何度も言ってきたが、今やスーツはビジネスマンの制服(的なもの)ではない。しかし、だからこそ“スーツを着る”という行為の価値はかつてないほどに高まっている。ビジネスの場を引き締める”鎧”として。大人の遊び心を表現するための“装い”として。守るべき時は守り、攻めるべき時は攻める。スーツはビジネスマンの盾であり、矛だ。
M.E.は、創刊以来スーツと向き合ってきて今月で300号。だから、はっきりと言える。「スーツは今、最高に楽しい」と。
スーツに求めるもの、それは誠実さ
品格を纏う。
誠実に見せたかったら、何より“品”ある装いを心がけるべき。そのためには手堅くスーツスタイルの王道を行くのがいい。とはいえ常にその道のど真ん中を歩く必要はない。時には道の端ギリギリのところも攻めてみよう。そんな振れ幅が男の“格”に繋がり、さらなる信頼を勝ち得るのだ。
威厳と信頼の先にある色気
知性を魅せる。
なぜ彼は今日、このスーツにそのシャツとタイを合わせてきたのか? 人は意外とそんなところから、相手の知性や教養を推し量っているものだ。であれば、節度を保ったうえでしっかり時代性や自分の美意識を表現したい。徹底的に理詰めで構築したコーデは、知的な男ならではの色気も生む。
その遊び心は大人の余裕
華やぐ。
軽妙なシャツタイの色柄合わせ、あるいはちょっとした小物使いで、スーツは上質なお洒落着へと変貌を遂げる。業界関係のパーティや女性クライアントとの会食など、いつもと同じ装いでは味気ないという場面、こうしたほんの少しの遊び心でセンスよく華やぎを表現したい。