目立つところに座ろう 戦略的ポジショニングのすすめ
一橋大学名誉教授 石倉洋子(2)
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世界で通用する人材、会社で求められる人になるにはどうしたらいいの? そんな素朴な疑問に、世界経済フォーラムなどの国際舞台で多くのリーダーと接してきた石倉洋子氏は「ちょっとしたことから始めて、毎日の習慣にしてしまえば、生活の一部となって、どんどん力がついていく」と言います。では、どんな習慣を身につければいいのでしょう? このほど文庫として刊行された「世界で活躍する人の小さな習慣」から連載で紹介します。
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席が自由なセミナーやシンポジウムに行った時、皆さんはどのあたりに座りますか?
私は、基本ルールとして、なるべく前方そして中央の、つまりコンサートや演劇で良いとされている席につくことをおすすめします。
スピーカーに顔を覚えてもらいやすい
それはなぜか? スピーカーやパネリストの目にとまりやすく、質疑応答の時に手を挙げると指名されやすいからです。セミナーやフォーラム、特に世界経済フォーラムの「ダボス会議」や「サンガレン・シンポジウム」など、スピーカーが一方的に話す"講演会"ではなく聴衆とのインタラクション(相互作用)が重視されるような会議では、前、中央の一番良い席に座るのがよいと思います。
こうした会議では、たとえ時間切れになってしまい、質問があったのに発言の機会が与えられないような場合でも、後でスピーカーに直接質問すればよく、その時にスピーカーも覚えてくれている可能性が高いからです。
しかし、日本では、講演会などでも前の席が空いていることがよくあります。前方席はスピーカーやパネリストなど関係者のために確保されている場合もありますが、そうでない場合でも、なぜか空いています。
これは学校時代の経験(大学でも大学院でも、前の席に座っていると指名されやすいと思っているのか、後ろのほうから席が埋まる)が影響しているのかもしれませんが、いろいろな人が参加するセミナーや国際会議などでは、前の中央あたりに座るほうがよいでしょう。会議の映像をスクリーンに流している場合、それに映りやすいといったメリットもあります。
自分のポジションを持つための第一歩
こういうと、皆さんの中には、あくびをしていたり、つまらなそうにしている自分の顔が画面に映ったら困る、出る杭は打たれる日本では目立ちたくない、質問といわれても考えられない、だから後ろのほうの目立たない席に座る、という人もいるでしょう。しかし、まさにそのために、目立つ席に座ることを自分に半分「強制」することをおすすめするのです。