リーダーとして転職 求められる改革の前にすべきことエグゼクティブ層中心の転職エージェント 森本千賀子

最短距離で目に見える結果を出そうとすると、「目先のものを変える」ということにとどまってしまいます。しかも、周囲の納得を得られていない状態では、不満や反発が広がり、中長期的にはマイナスとなりかねません。メンバーが「自分にとってメリットが大きい」と感じられるようなプロセスを踏んでいくことが成功の秘訣といえそうです。

オフの場も活用した距離の縮め方

組織のあり方や慣れ親しんだやり方を大きく変えるという作業は、いくら優秀なリーダーでも1人では成し遂げられません。周囲を巻き込み、協力を得て推進する必要があります。改革に乗り出す前に、「この人に協力したい」と思ってくれる仲間を増やすことが重要です。

そこで、入社直後からメンバーとのコミュニケーションをなるべく多くとって、「人と人」としての関係を築いてください。オープンに話し合える間柄になれば、経営陣が気付いていない、現場でのささいな課題もつかめるようになります。そうして実情を理解した上で、小さなところから改善していくことで、信頼を積み重ね、「ファン」を増やしていきましょう。

既存社員とのコミュニケーションの取り方に工夫し、関係構築に成功したのがBさんです。Bさんは東京から地方の企業に転職しました。

コミュニケーションにはオフの場も活用したい。写真はイメージ=PIXTA

しかもただの転職ではありません。転職先の企業はファンドに買われた直後で、Bさんは「ファンドから送り込まれる」形で入社したのです。社員たちは「自分たちの会社を乗っ取った側の人間が東京から来た」と警戒心たっぷり。入社直後から、強烈なアウェー感を味わったといいます。

メンバーと打ち解けることが最優先課題と考えたBさんは、単身赴任であるにもかかわらず、ワンルームではなくファミリータイプのマンションを借りました。もともと料理が好きだったそうで、調理器具一式をそろえ、毎週金曜日に社員たちを自宅に招いて手料理を振る舞ったのです。皆でワイワイと鍋を囲み、ときには「フルコース」でもてなしました。この「同じ釜の飯作戦」が功を奏し、Bさんは無事に受け入れられたのでした。

このように、入社したばかりの頃は、会社内でのコミュニケーションだけでなくオフの場でふれあう機会を多くつくるのも有効です。関係を築く初期段階では、ランチや飲み会の機会も意図的に増やすのも手だと思います。

繰り返しますが、改革を焦ってもいいことはありません。ぜひ既存の体制をいったん受け入れ、「人間関係を築く」ことからスタートしてください。皆さんのご活躍を祈念しています。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。次回は2019年3月29日の予定です。この連載は3人が交代で執筆します。

森本千賀子
morich代表取締役 兼 All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。最新刊「のぼりつめる男 課長どまりの男」(サンマーク出版)ほか、著書多数。

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