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週末レシピ 大暴れするほどおいしい?アクアパッツァ

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NIKKEI STYLE

みなさんは「アクアパッツァ」という料理をご存じだろうか。

魚を塩とオリーブオイルと水でシンプルに調理したもので、もともとはイタリア南部・ナポリの郷土料理だ。材料も調理工程もシンプルなのに、奥が深く、毎日食べても飽きない、いわば漁業の街の「漁師めし」なのである。高級レストランから場末の食堂まで、時にシンプルに、時にゴージャスに、それぞれの店でアレンジを加えられながら、どんな業態の店でも必ずメニューに名を連ねるほど、地元ナポリで多くの人に愛されている。

そんな南イタリアの郷土料理が日本で広く知られるようになったのは、その料理名を店名に冠する「リストランテ アクアパッツァ」の日高良実シェフの功績が大きい。イタリアの名店を渡り歩きながら修業していた時に、郷土料理を学ぶべくナポリへ。その際に出合った「アクアパッツァ」に感銘を受け、修業の合間を縫ってはアクアパッツァが評判の店を食べ歩いたという。そして日本に帰国後、その「アクアパッツァ」を店名に、リストランテをオープンさせた。もちろん現在でも、リストランテを訪れた人のほとんどが注文する、日高シェフのスペシャリテだ。

さすがにリストランテの味とまではいかないが、家庭でも格段においしく仕上げるコツがいくつかある。今回は、少しゴージャスに見えるレシピとともにそのコツをご紹介する。

<材料:3人分>
タイ、アジ、サバなど好みの魚の切り身 3切れ / アサリ 200グラム(ハマグリやムール貝でも可) / プチトマト 12個 (ドライトマトや大きなトマトでもOK) / ニンニク 2片 / パセリ 適宜 / バジル 3~4枚 / 白ワイン 60ミリリットル / 水 100ミリリットル / オリーブオイル 大さじ2+大さじ2 / 塩 適宜 / 黒コショオウ 適宜
<下ごしらえ>
 魚が丸のままの場合は、背ビレや尾ビレを切り落とし、ウロコや内臓、太い骨を取り除き、内側も外側も流水でよく洗っておく。切り身の場合はそのままでOK
<作り方>
(1)魚にまんべんなく塩をふり、10分ほど置いておく
(2)(1)で魚からしみ出した水分をキッチンペーパーでしっかりとふき取る
(3)フライパンにオリーブオイル大さじ2を熱し、(2)の魚を焼き色がつくまで焼く。焼いている時に脂が出てくるようなら、それもキッチンペーパーでふき取る
(4)ニンニク、水、白ワインを加えて、沸騰させる。沸騰したら、沸騰状態を保ったまま、煮汁をスプーンですくって魚に煮汁をかけながら煮詰める
(5)アサリと半分に切ったプチトマトを入れ、さらに煮汁をかけまわす
(6)すべての貝が口を開いたら、オリーブオイル大さじ2を加え、具材に煮汁をかけまわしながら、さらに煮立たせる
(7)煮汁が乳化して白っぽくなったら火を止める。皿に盛りつけ、みじん切りにしたパセリを散らして完成

おいしく仕上げるポイントは4つある。

まず1つ目は、魚に塩を振って水分を出すことと、それをしっかりとふき取ることだ。塩の浸透脱水作用によって、水分と一緒に魚の生臭さが取り除かれるとともに、魚の表面をきゅっと締めてくれるので、形崩れしにくくなる。

2つ目は、魚を先に焼いておくことと、脂を拭き取ること。これにより、魚に香ばしさを与えつつうま味を閉じ込める。さらに煮くずれを防いでくれるし、生臭さが脂に溶けだして消える。アクアパッツァは、魚の持つうま味を余すところなく味わうため、煮汁の最後の一滴まで楽しむ料理だ。魚の生臭さが残っていると台無しになってしまうので、2段構えで徹底的に取り除きたい。ちなみにこの段階では魚に火を通すことが目的ではないので、強火で外側を焦がすことに集中してほしい。

3つ目は、低温でコトコトと煮込むのではなく、とにかく高温でグツグツと煮立たせること。グツグツと煮立たせることによって対流が起きて、オリーブオイルと魚とトマトの煮汁、ワインがしっかり混ざり合って乳化をし、ソースが完成するのだ。これによって、うま味が一体化する上、口当たりがスムーズになる。

4つ目は、具材を入れた後は常にスプーンで煮汁をかけまわし続けることだ。魚に火が通りすぎて硬くなってしまうのでは、という疑問を持つ方もいるかもしれないが、魚を焼く工程は焦げ目をつけることが目的で、中にはほとんど火が通っていない。煮汁を煮立てる時間も実はさほど長くはなく、魚の半分ほどしか煮汁の高さがないので、意外と身には火が通りづらい。そのため、沸騰した煮汁を上からかけてあげることで、優しく熱を通してふっくらと仕上げるのだ。

なお、アクアパッツァの良い点として、材料の置き換えの許容範囲が広いという点が挙げられる。例えば今回レシピに掲載しているタイ、アジ、サバがなくても、サケやタラなどのほかの魚に置き換えても良い。材料が足りなければ、最低限の材料だけを使ってごくごくシンプルに仕上げることも可能だ。シンプルにしたい時は、魚、塩、水、オリーブオイルだけでもおいしく作ることができるので、材料が少し足りないからと言って諦める必要はないのである。それよりも、魚ができるかぎり新鮮であることが最も重要なので、身近で手に入る魚で挑戦してみてほしい。

もし余裕があれば、アクアパッツァのように特にシンプルな料理の時には、ぜひ調味料にもこだわってほしい。普段は軽視しがちな水、塩、オイルだが、その品質にこだわるだけで、驚くほど仕上がりの味わいがアップするからだ。

魚介を主原料とするアクアパッツァに使う塩は、海水から作られた塩が適していることが多い。南イタリアの料理なのでシチリアなどの南イタリア産の海水塩といきたいところだが、使う材料は日本で水揚げされた魚であることがほとんどだろう。できればその魚が最後に生息していたエリアの海水からできた塩を選ぶと良い。

オイルに関しては、アクアパッツァに限って言えば、オイルの香りを楽しむ料理ではないので、エクストラバージンである必要はあまりない。それよりも、酸化していないかどうかが非常に重要である。オイルは、開栓後は思いのほか早く酸化し、酸化臭を醸し出してしまうので、新鮮なオイルを使うことが重要である。もちろん、口当たりの軽いオイルを使うか重いオイルを使うかで仕上がりの味が変わるので、好みによって選んでほしい。

水は、できれば水道水ではなく、だしの出やすい軟水のミネラルウオーターをセレクトすると、うま味がしっかりと煮汁に溶け出すとともに、香りもたつ。シンプルな料理というのは、何気に奥が深いのである。

ちなみにこの料理、実は料理名の由来があまりはっきりしていない。イタリア語で「アクア」は「水」、「パッツァ」は「奇妙な、狂った、暴れる、不思議」という意味なのだが、その解釈は様々だ。フライパンの中で油に水が跳ねる様子を表しているとする説や、漁師が船上で料理をしている時に鍋の水が揺れる様子を指しているとする説や、水をグラグラと煮立てるからという説、猟師が海水で魚を煮ていたからという説、魚のだしがしみ出たスープが狂ってしまうほどおいしいからという説など、諸説あり、いまだ結論づけられていない。

名称の由来が不明な料理は結構あるものだが、その中でも諸説の数が非常に多い。まあ、説の種類が多いのも、それぞれの説の主張者が「絶対にこうだ!」と押して引かないのも、このメニューがそれほどまでに多くの人に強く愛されている証拠のようにも思えるので、このままでも良いのかもしれない。

さて、今週末は、ぜひ新鮮な魚を手に入れて、ちょっと調理工程に気を付けながら「アクアパッツァ」に挑戦してみてほしい。久しぶりの人は、そのおいしさに「大暴れ」してしまうかもしれないので、気を付けて。

(一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事 青山志穂)

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