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弟のカミングアウトで決意 LGBT就職情報サイト起業

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日経doors

星真梨子さんは、大学院生時代の2016年に弟の星賢人さん(現・社長)とともに、性的少数者(LGBT)のための就職情報サイトを運営するJobRainbow(ジョブレインボー、東京・中央)を設立。最高執行責任者(COO)として同社を支えながら、LGBTや性的マイノリティーをはじめ、「さまざまな個性を受容して、誰もが生きやすい社会」を目指している。LGBT当事者だけではなく、すべての人が自分らしく生きられる社会を実現するために必要なことを聞いた。

カミングアウトは信頼の証

「私には、高校生の頃に決めた人生の課題があるんです。それは『マイノリティーが受容される社会にして、日本をもっと良くしたい』ということ。父が弁護士なので、子供の頃から社会問題に関心が高く、差別の問題に敏感だったことも影響しているかもしれません」

「社会的弱者をサポートしたい」。そう考えていた星さんは、大学卒業後、法科大学院へ進みました。そのとき、仲の良かった弟から、ゲイ(男性同性愛者)であることをカミングアウトされます。そして、身近な知人からもトランスジェンダー(心と体の性が一致しない人)であることを告白されました。

「弟や知人からカミングアウトされたとき、驚きよりも自分に打ち明けてくれたことが純粋にうれしかった。1人で悩み、抱えていたことを話してくれたのは『信頼の証』と思ったんです。『話してくれてありがとう』って、感謝の気持ちでいっぱいになりました」

周囲の大切な人からのカミングアウトをきっかけに、星さんはLGBT当事者が抱える大きな悩みを知ることに。あるトランスジェンダーの知人が就職活動で壁にぶつかったことを知ると、LGBTやマイノリティーの就職には、大きな課題があることに気付きました。

「マイノリティーの人に対し、社会にはまだまだ根強い『偏見』『差別』があると実感しました。トランスジェンダーの友人は、面接で『トランスジェンダーです』とカミングアウトすると、『うちの会社ではあなたみたいな人は受け入れられません』と言われたそうです。それが大きなトラウマとなり、結局、就職を諦めてしまいました。高校までは男性、大学からは女性として過ごしていた友人は、男女どちらのスーツを着たらいいのかが分からず、説明会は女性用のスーツ、面接では男性用のスーツと使い分けるなど悩んでいたそうです」

実際に、「就職活動で困った経験がある」という当事者はとても多く、非当事者が6%なのに対し、LGBT全体で40%、トランスジェンダーの方に限れば70%に上るそうです。

そんなとき、こうした社会の現状を変えたいと考えていた弟から「LGBTの就職を支援する企業を立ち上げたい」と相談を受けました。昔からすごく仲が良く、お互いを理解してきた星さんは、「彼ならこのビジネスを実現できる」と確信。星さん自身はLGBT当事者ではありませんが、非当事者の視点があるからこそ会社をけん引し、やがて世界のステージに乗せることができるかもしれないと考え、JobRainbowを共同創業しました。

JobRainbowとは


「すべてのLGBTが自分らしく働ける職場に出会えること」を目指し、2016年1月に設立されたLGBTスタートアップ。LGBTしごと情報サイト「JobRainbow」、LGBT求人サイト「ichoose」、企業向けの研修・コンサルティングの3つを事業の柱としている。JobRainbowでは200社以上の企業のLGBTへの取り組みを口コミなども交えて一覧できる。LGBT向け福利厚生、LGBT研修あり、といった項目からLGBTフレンドリーな企業を検索できる。ichooseではエントリーシートにLGBT求職者が自由にセクシュアリティを記入できるほか、入社後の配慮項目を事前登録して、LGBT求職者と企業とのマッチングをサポートする。

目の前の人を大切にする生き方をしたい

最近では、TVドラマにゲイの登場人物が出てきたり、一部の自治体が同性婚を認めたりするなど、多くの人が身近にLGBTについて触れる機会が増えていて、LGBTやトランスジェンダーに対する社会の見方が変わりつつあります。しかし、皆が気付かないところで、実は「無自覚な差別」があることを星さんは指摘します。例えば、職場での「結婚は?」「彼氏・彼女はいるの?」という会話や「○○ちゃん」「△△君」という呼び方。一見、よくある場面でも、当事者はウソをつくより他なく「LGBTであることを知られてしまったら……」という不安からコミュニティーに対して壁を作ることになってしまうそうです。

「日本の職場では露骨な差別行為が少なく見える一方で、何気ない一言で当事者を傷つける『無自覚な差別』が多いんです。こうした職場での小さなストレスや不安が積み重なり、約6割のLGBT当事者が離職してしまうというデータもあります。でも、これはLGBTだけの問題ではないと思います。独身の人をからかったり、容姿で笑ったりする。そういう日常的なコミュニケーションが、無自覚にいろんな人が生きづらい環境をつくっています。『偏見がない』というのが本当か、自分の中の当たり前を振り返る必要が誰しもあるし、『偏見がない』ことと『理解がある』ということは別だと思います」

職場では、私たち一人ひとりが「もしかしたら私の近くにLGBT当事者がいるかもしれないな」と想像して、普段から「誰かを傷つける言動になっていないか」を考えながら話すことが重要だという星さん。もし、職場でカミングアウトされた場合には、相手の話を最後まで聞いて、本人の許可なく口外しないよう徹底することが大切だそう。

「『呼称にまで気を遣うのって面倒じゃない?』と言われますけど、私はそれよりも、LGBT当事者がどんな環境や言葉、態度で傷つくのかを知ったことで、不用意に相手を傷つけることが少なくなったことがうれしい。『気を遣う』ということは、目の前にいる人を大切にすること。そんなポジティブなことだと捉えれば、面倒に感じることもなくなるはず」

一人ひとり違うからこそ、存在意義がある

「きっと、誰もが何かしら生きづらさを抱えているのではないか」という星さん。LGBT、セクシャルマイノリティーのほか、ハンディキャップや病気を持つ人、子育て中の人や介護をしている人、それぞれが抱える「生きづらさ」を受容できる社会にすることが大切だと語ります。

「『想像力』こそがすべての源。人だけが持っているこの力で、自分をさまざまな立場の人に置き換えて想像すれば、お互いを思いやれるのではないでしょうか。固定観念に縛られていると、知らず知らずのうちに人を傷つけてしまいます。他人を変えることはできませんが、自分を変えることはできます。自分を主体にして、行動を変えていくことができれば、自分をコントロールできる。そうすれば、目の前の人を大切にしながら、自分も大事にされる環境になっていくのではないでしょうか」

JobRainbowで活躍する傍ら、星さんは2018年、司法試験合格を果たしました。志していた法曹界で、専門家としてLGBTやマイノリティーをサポートする道も開けましたが、当分はJobRainbowのメンバーとして活動を続けていくそう。いまだLGBTに関して教育を受けられない子供たちが多くいることや、結婚、住宅、金融、介護など、LGBTの方が様々なライフステージでぶつかる困難など、まだまだ取り組むべき課題はたくさんあるといいます。

「LGBTフレンドリーな会社を増やし、マイノリティーが生きやすい社会を作ること。それは最終的に、『すべての人が自分らしく生きられる社会』につながると思うのです。私たちは、一人ひとり違うからこそ、存在意義があるのです。たとえマイノリティーであっても、それはマイナスなことではありません。『人と違うこと』を恐れる必要なんかない。多様な人がお互いを認め合って生きることができれば、その先には、もっといい日本、いい世界が広がっていくと信じています」

星真梨子
JobRainbow 取締役COO。1989年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、日本のマイノリティーの生きづらさへの関心から、法律家としてアプローチするため、東京大学法科大学院へ進学。在学中に弟や友人からカミングアウトを受けたことをきっかけに、性や偏見のしがらみなく生きられる社会の実現をめざし、2016年、弟の賢人さんとともに株式会社JobRainbowを設立。LGBTに理解のある企業の情報を紹介し、求人に応募できるWebメディアの運営や企業がLGBTの人を受け入れるための研修コンサルティング、イベント事業などを行う。

(文 都田ミツコ、写真 清水千恵子)

[日経doors2019年3月1日付の掲載記事を基に再構成]

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