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パラアスリート 夢を追う

命がけで挑む電動車椅子サッカー 難病感じさせぬ迫力 映画「蹴る」が描く選手たち

2019/3/15

ボールを追って競り合う永岡真理(左)と東武範(2017年9月、日本電動車椅子サッカー選手権大会)=永岡一男提供

3月23日、東京・中野区の映画館で、電動車椅子サッカーのドキュメンタリー映画「蹴る」が封切られる(全国でも順次上映)。2017年米国ワールドカップ(W杯)を目指す、障がい者というよりトップアスリートと呼ぶべき彼らの日常を、監督の中村和彦が6年間にわたって追い続けた長編ドキュメンタリーである。

電動車椅子サッカーといってもイメージするのは難しいはずだ。

競技者は、「SMA(脊髄性筋萎縮症)」や「筋ジストロフィー」といった難病や、「脳性まひ」「脊椎損傷」のため自立歩行ができない重度の障がいを抱えている。手先やあごを使いスティック型のコントローラーで電動車椅子の方向、スピード(国内試合では時速6キロ以下)を操り、車椅子に取り付けるフットガードで直径32.5センチと、大きめのボールでゴールを狙う。国際的な呼称は「パワーチェアーフットボール」で国際電動車椅子サッカー連盟(FIPFA)のもと07年には初のW杯が日本で開催されるなど、日本電動車椅子サッカー協会によると、国内でも北海道から鹿児島まで40ものチームが登録する競技に発展した。

男女の区別なく20分ハーフで争われる試合の迫力には圧倒され、華麗なテクニック、そして魅力的な選手たちの生き様に、彼らが障がい者であるかどうかはすっかり忘れて引き込まれていく。

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映画にはサッカー元日本代表で日本障がい者サッカー連盟会長を務める北沢豪(右)も出演する=映画「蹴る」製作委員会提供

映画全編に出演する永岡真理(横浜クラッカーズ)は、先天性のSMAのため「激しい競技は絶対にできないと、医師に止められ続けてきた」と映画で明かす。横浜で先行上映された2月下旬、インタビューする機会を得た。傍らにはヘルパーが寄り添う。午前中から何件か取材に応じ「自分がスクリーンに登場するのは恥ずかしい」とはにかんだ。

「2歳までしか生きられないだろうと宣告を受けていたんですが、子どもの頃からスポーツが大好きでした。電動車椅子でできる競技ほとんどに挑戦してみました。そのなかで、一番激しいサッカーを選んだんです」

車椅子を両手では動かせないが、陸上のスラローム種目やボウリング、車椅子で行うボッチャなど多くの競技にトライし、なかでも激しくぶつかり合い、時には転倒のリスクがあるサッカーを16歳から始めた。映画の中にも、衝突しそうな局面に飛び込んで転倒、ケガをするシーンがある。自分で起き上がれないにもかかわらず、永岡は恐れず飛び込んでいく。

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