変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック

その疲れは身体だけの問題か、ほかにも原因があるのか。画像はイメージ=PIXTA

その疲れは身体だけの問題か、ほかにも原因があるのか。画像はイメージ=PIXTA

病気や災害、過労、ハラスメントなどにより、思うように働けなくなる――。本人にとっても会社にとっても、これほど不幸なことはありません。社員がいきいきと働き、高いパフォーマンスを発揮する職場をつくるには、経営トップや人事部門などの理解と協力が不可欠です。産業医として多くの企業で社員の健康管理をアドバイスしてきた茗荷谷駅前医院院長で、みんなの健康管理室合同会社代表社員の植田尚樹医師に、具体的な事例に沿って「処方箋」を紹介してもらいます。

パワハラ対応、被害者守るのが第一 自覚ない上司多く >>

1回目は過労で不調を訴えてきた新入社員のケースです。まもなく新年度。慣れない環境で心身の不調に陥らないよう、周りのサポートが重要になります。

休日も深夜も業務用携帯を手放せず

メーカー勤務のAさん(20代女性)は入社して4カ月ほどたった8月初め、人事総務部門の担当者に体の不調を訴えてきました。最近、疲れ気味だというのです。担当者は上司と相談のうえ、産業医のB医師に面談してもらうことにしました。

Aさんは新人研修のあと、正式に配属となってから数件の得意先を担当。人手不足で新人の割に業務量は多く、退社時間は午後10時ごろになることもしばしば。また、土日にも担当する案件で何かあれば緊急対応することがありました。会社から少し遠い実家から通っていたため、睡眠時間は毎日4~5時間。寝付けないことはないのですが、寝て起きても疲れが取れないとB医師にいいます。

B医師が気になったのは「ミスが多く、今の自分に自信が持てない」という言葉でした。新人ですから、できないことがあるのは当たり前です。ただ、睡眠時間が短くなっていることで、物事を否定的に捉えやすくなっていました。B医師は残業時間を減らすようアドバイスし、1カ月後に再度面談することにして、その日の面談を終えました。

9月上旬に面談したところ、Aさんの症状は悪化していました。朝起きるのがつらくなり、起床時間が6時、6時30分とだんだん遅くなっています。おなかの調子も悪くなっているとのこと。忘れっぽくなったり、ミスが続いたりしており、自分でも集中力が低下しているのを自覚している様子でした。

勤務状況を聞くと、退社時間は午後10時ごろが常態に。まっすぐ帰れば12時までには家に着けますが、食事して帰ると午前1時半ごろの帰宅になるそうです。さらに、土日に出社する日も増えていました。休日でも深夜でも常に業務用の携帯電話を手放せず、ほとんどかかってくることはないとはいえ、緊張を強いられていたのです。

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedo日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック