人生は1回きりじゃない。今の時代は2回でも、3回でも、やり直せる
タレントの萩本欽一さんとお会いしたとき、もし若い頃に会っていたら弟子入りしていたかもしれないと思ったぐらい、魅了されました。欽ちゃんは駒澤大学に通う70代の大学生なんですよ。物忘れが多くなってきて、忘れちゃうのは仕方がないから、それなら新しく知識を入れればいいと思って大学に行くことにしたそうなんです。
そしてあえて留年したでしょ。卒業するのがもったいないから。大学5年生と言っている。これは国民の意識を変える可能性がありますよ。別に何年で卒業しようが自由じゃないですか。1回休学したっていい。
よく人生は1回きりと言いますね。でも1つの人生の中に、いくつもの人生があるのが人生100年時代。20歳の人はあと80年あるから、次は何をしようか、そのまた次は何をしようか、と考えるといいんじゃないでしょうか。
そして本当にやりたいことは何かを考えてほしいですね。うちの事務所にインターンに来ていた大学生で、商社か航空会社に行きたいと話していた子がいました。帰国子女だから英語が使えるというのが理由の一つだったのですが、それは他にも使える職業ってあるよね、なんでそれがやりたいの?って聞いていくと「突き詰めて考えたことがなかった」と泣いてしまったんです。それを考えるのをインターン期間中の宿題にしました。
どんな道に行っても、ストレスも嫌なこともある、それでも頑張れるのは、好きだからやっていける。就職でも就社でもなく、「就ライフ」だと、私は最近よく若い人に話しています。どんな生き方がしたいかが大事です。
そのインターン生は結果的に化粧品会社に行くことになりました。就職のその先を見据えて、こういうことがやりたい、そのためにこの会社に入るというような考え方でしたから、立派でしたね。会社にしがみつくのではなく、会社がしがみつきたくなる存在になってくれるでしょう。若者にはヒントを示せば、後は自分で考え行動する力があると信じている。本当に何がやりたいかだけは自分にしか分からないから、若者にはそれが何かを時間をかけてでも考えてほしい。それが分かれば、どんな世界でも大丈夫だから。
1981年生まれ。2004年、関東学院大経済卒。06年に米コロンビア大院政治学部を修了し、米国戦略国際問題研究所へ。07年に帰国し、父・小泉純一郎氏の秘書となる。09年、衆議院議員。17年、自民党筆頭副幹事長。
(安田亜紀代)