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隣家に預けた愛犬が行方不明に 慰謝料は請求できる? 弁護士 志賀剛一

2019/3/14

写真はイメージ=PIXTA
Case:52 旅行に行くため、愛犬のジローをお隣のAさん一家に預けました。最初はペットホテルに預ける予定でしたが、Aさんも犬を飼っており、一緒に散歩しているときに旅行の話をしたところ、「ジローはウチで預かるから大丈夫」と言ってもらったので預けました。ところが、Aさんが散歩中にジローを逃がしてしまい、結局ジローは見つかりませんでした。Aさんから口頭では謝罪を受けましたが、ジローは私にとって家族以上の存在で、慰謝料を請求したいと思っています。

■例外的に慰謝料を認める裁判例も

大変お悲しみのことと拝察いたします。

まず、愛犬ジローを失ったことについて、その原因をつくった人に対して慰謝料の請求が可能かどうかを検討します。

日本の法律では、ペットは動産、すなわち「物」として扱われているので、物がなくなった場合の損害額は、財物賠償としてのその物の時価相当額(購入価格を現在価値に引き直したもの)が基本で、ペットを喪失したことについての精神的慰謝料の請求は原則として認められていません。

しかし、最近はペットを家族同様に扱い、飼い主にとってかけがえのない存在となっていることが少なくありません。このような流れの中で、財物賠償を認めただけでは償い得ないほどの精神的苦痛を被った場合には、例外的に慰謝料が認められるとする裁判例も増えてきました。

とはいえ、慰謝料が認められている場合でも、その額は数万~10万円程度が一般的で、数十万円の賠償を認めた判例は決して多くはありません。

判例はペットに対する愛情の程度や飼育期間、死亡に至る経緯、加害者の過失の程度などの事情を総合的に判断しているようです。相談のケースでは、額はともかく、ジローを逃がしてしまったAさんに何らかの請求ができるでしょうか。

■報酬をもらえば注意義務はプロレベル

あなたがジローをAさんに預けた行為を法律的に説明すると、あなたを寄託者、Aさんを受寄者とする「寄託」という契約が成立していると解されます。

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