セカオワ、アルバムなぜ2枚 ダークとポップの意味

日経エンタテインメント!

S Fukase君の歌は、ここ数年で本当にうまくなってる。以前は技術と引き換えに、心が失われるんじゃないかという恐怖感がありました。でも今は、スキルが上がっても失うものはないという自信を得たんだと思います。それはすごく尊敬しているけど、その分本人が求めることも増えて。私はそこまで集中して歌うことがないから申し訳ないんですが、Fukase君がディレクションに怒って…。

海外活動名義のEnd of the Worldとしての1stアルバム『Chameleon』もリリース予定(写真:佐賀章広)

F 「10回歌うのをまず聴いて」と言ったのに、途中で「ここは直して」って言われたから「10回歌うって言ってるだろう。黙って聴け!」と言っただけ(笑)。

S 譜割が違ってたから、そこを直して歌ってもらいたくて。仕方ないので聴き終わってから、冷静に「譜割、違います」と(笑)。

N 今作は、各々のミュージシャン性みたいなものをアルバムに入れられた気がしますね。最良の形で表現するため、いろんな方の力も借りました。計画的に割り振っていかないと完成しないほど曲数も多かったので、僕もSEKAI NO OWARIに依頼されてるアレンジャーの1人という感覚もありました。

外部アレンジャーからの学び

S プロデューサーの小林さんとは『RAIN』が最初で、曲作りの途中で悩んだときに相談に乗ってもらった感じです。『サザンカ』は、曲の展開をもう1つ増やしてみたらいいんじゃないとか、具体的に提案してくれたんだよね。

N メロディーや歌詞は決まってたけどテンポで迷って。小林さんが作るポップスは、パーツで聴くとエッジが効いてるけど、全体で聴くとど真ん中を行ってるんだと気づきました。

S 『千夜一夜物語』はメンバー内で試行錯誤した末に斎藤ネコさんにお願いしました。斎藤さんは、実際にFukase君が歌いながらピアノを弾いて曲のキーを決めたりして、その場で空気感をつかんでいく面白いやり方でした。

N データやデモ音源じゃなく、紙楽譜の人だったね。

S アレンジがスコア譜で来たのも新鮮でした。

N レコーディングは50人以上が参加の一発録りで。

S 50人以上がさっと来て、さっと帰っていった。私たちは1個1個楽器を重ねるやり方だったから衝撃的でした。1度に録ることで、音楽に空気を含ませるやり方もあるんだなって。すごく面白かったですし、気に入ってます。ネコさんには『夜桜』(『Eye』収録)のアレンジもお願いしました。

F 『夜桜』は僕らからすると珍しい直球のラブソングです。

N この曲と『Lip』収録の『向日葵』は一部のメロディーが一緒なんです。Fukaseがメロを持ってきて、「この曲で2つ歌詞を書きたいからサビを考えてくれないか」って。既にあるメロディーに合うサビを考えるのが結構大変で。でも、コンセプトも含めて作ってて面白かったですね。

F 一見似ていないけど、実は同じ。異質な双子というか。どちらも4曲目に置きました。今回の裏テーマにラブソングをたくさん書こう、というのがあったんですよ。

S これまでFukase君が書いてきたラブソングって、相手がロボットだったり、炎と森のカーニバルに行ったり、設定が突飛なものが多かったんです。でも今回はスタンダードなラブソングに挑戦した。他のバンドにしたら当たり前なんだけど、うちらからしたら「新しい一歩」なんだなってすごく感じますね。

(ライター 橘川有子)

[日経エンタテインメント! 2019年3月号の記事を再構成]

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