リーダーが語る 仕事の装い

上司より派手な服着るのはもってのほか ボルボ・カー・ジャパン社長 木村隆之氏(下)

2019/3/30

ボルボ・カー・ジャパン社長 木村隆之氏

スウェーデンの高級車メーカー、ボルボ・カーの日本法人、ボルボ・カー・ジャパン(東京・港)の木村隆之社長のキャリアを振り返ると、欧米やアジアで過ごした時間も長い。海外駐在時代に学んだ装いの流儀にまつわる教訓などもあるという。前回に続き木村氏に聞いた。




――トヨタ自動車、日産自動車、ボルボと国内外の自動車メーカーで主にキャリアを重ねてきましたが、もともと車好きなのですか。

「ええ、車の免許は18歳の時に取りました。大学は工学部卒ですが、周りには自分より勉強ができる人がたくさんいましてね。授業がわからず友人に教えを請うと、本質を理解しているせいか実にわかりやすく教えてくれた。研究職などでこいつらとまともに勝負したら勝てないと思い、自分はビジネスの世界で勝負してやろうと大企業を就職先に選びました」

■ある一言で人前で上着を脱がなくなった

「人々はどんな思いで車を買うのか、ということに興味があり、トヨタ時代は『技術がわかる営業マン』として、ベルギーに約5年駐在し、米国に経営学修士(MBA)留学したこともありました。ベルギー駐在時代に『日本人や米国人はすぐに上着を脱ぎたがる』と現地の方から指摘されたことがあります。彼らにとっては、ドレスシャツは下着だから。それ以来、私も人前では上着を脱ぐことはしなくなりました。下着を着ずに素肌にドレスシャツをじかにまとうようになったのもそれからです。私は汗っかきなので、汗をふきふきいつも我慢していますが、これも相手を敬う気持ちからの着こなしだと思います」

ボルボ・カー・ジャパン社長就任前はトヨタや日産、ユニクロでキャリアを積んだ

――ユニクロを含めこれまでキャリアを積んできた企業を服装の観点で見ると、社風の違いなど感じることはありますか。

「会社ごとに服装の感じは確かに違います。トヨタ時代はスーツ姿で出勤しても、職場では上着だけユニホームに着替えていました。だからでしょうか、あか抜けた感じはおよそしなかった。次の転職先、ユニクロはみなさん、カジュアルな装いで、服装に一家言ある方もたくさん。その道のプロのような方がいる一方で、ファッションのイロハもまだわからない新卒社員もいて、おもしろかった。私の自宅のワードローブの3割くらいはユニクロの製品が占めており、今も愛用しています」

「20歳代のころに、『VAN(ヴァンヂャケット)』の創業者、石津謙介さんの著書を読んだことがあります。カジュアルは何を着てもいいが、スーツはTPO(時、場所、場合)をわきまえよ。上司より派手な服を着るのはもってのほか。確かそのようなことが書かれていたと記憶しています。ボルボの社長になって、社内ドレスコードを作り、父の形見の派手めな生地のスーツを着られるようになったのも、石津さんの教えの賜(たま)物かもしれません」

「今日の装いですが、派手だなと思われるかも知れません。カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したXC40の日本でのお披露目発表会の席で着ていた服と実は同じなんです。普段はダークスーツ主体ですが、プレス発表会というTPOやXC40という車のコンセプトに合致した装いとは、どのようなものか考えた結果の産物なのです」

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