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担当大臣も知らない、五輪憲章の先進性 反差別を徹底

2019/3/18

なにかと物議を醸す桜田義孝五輪相が、五輪憲章を「話には聞いているが、自分では読んでいない」と答弁して批判を浴びた。五輪憲章は国際オリンピック委員会(IOC)が採択した、五輪に関する「憲法」とも位置付けられる規定。担当大臣が読んでいないと公言したのはまずかった。

関係者でなければ触れる機会がない五輪憲章だが、日本オリンピック委員会(JOC)のホームページ(HP)に英語と日本語対訳が掲載されている。最新版は92ページ。IOCの運営や五輪の開催に関するルールが驚くほど細かく具体的に記され、読み通すのはなかなか骨が折れる。

ただ、最も重要なのは実務的ルールよりも、冒頭に掲げるオリンピズムの根本原則だろう。オリンピズムとはスポーツを通じて立派な人間を育て、世界中の人々と交流し、平和な社会の実現を目指すという理念。IOCの使命はそれを世界に広めるオリンピック・ムーブメントを主導することであり、スポーツの祭典である五輪でその活動は頂点に達する、と記されている。

五輪憲章が初めて制定されたのは1925年。74年のアマチュア規定の撤廃をはじめ、修正や追加を繰り返して進化を続け、2000年以降もしばしば改訂されている。

例えば、オリンピズムはあらゆる差別を否定するが、最近になるほど内容が詳しくなっている。14年の改訂では根本原則の第6項で「性的指向」「政治的またはその他の意見」なども差別の具体的な理由として加わった。

憲章の進化からは、IOCが時代の変化や社会の風潮に敏感に反応する組織であることがうかがえて面白い。

(編集委員 北川和徳)

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