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2020年から見える未来

空港も2020へテークオフ 羽田が増便、成田は深夜も

2019/4/3 日本経済新聞 朝刊

成田空港は開港以来、初めて発着時間の延長を決めた

東京五輪・パラリンピックのある2020年に向けた、羽田空港と成田空港の機能強化の概要が固まった。羽田は都心上空を飛ぶ新ルートで国際線の発着を65%増やす。成田は開港してから初めて発着時間の延長を決めた。日本の空の玄関口として訪日客の受け入れ余地は広がるが、アジアの主要空港にはまだ及ばない。都心へのアクセスや宿泊施設の整備などの課題も抱える。

1月末、国土交通省が数年かけて取り組んだ交渉が実を結んだ。米軍が管制する横田空域の旅客機通過が認められたことだ。日本の上空でありながら、米軍が管制し日本の管理外と正式に決まったのは1952年のこと。米軍は訓練機の発着に支障が出るなどとして難色を示したが、なんとか同意をとりつけた。

これにより羽田は都心上空を飛ぶ新飛行ルートを開設でき、国際線の年間発着枠は6万回から9万9千回へ増える。1日あたり約50便増え、ほぼ半数にあたる24便が日米路線に割り当てられる。

18年の訪日客のうち米国人は5%弱にすぎない。対米配慮ともいえる割り当てをしてでも新ルートを開設するのは、成田を含めて国際線を充実するためだ。

成田空港はA滑走路の発着時間を10月末から午前0時まで1時間延ばすことが正式に決まった。成田は年30万回の発着枠が上限まで使われず、数万回分の余裕がある。

成田に多い格安航空会社(LCC)は午後11時台に出発便を設定できれば、機材の運航効率が高まる。利用者は午後9時ごろまで都内にいられる。貨物便は集荷を1時間遅らせられる。

20年の体制は見えてきたが、アジアの主要空港と比べるとなお見劣りする。16年の2空港を合わせた国際線の総旅客数はおよそ4700万人。香港は約7千万人、シンガポールやソウルは約6千万人にのぼる。国交省は羽田の新ルート開設によって国際線の旅客数が約700万人増えるとしているが、アジアの主要空港にはまだ及ばない。

2空港を合わせた国際線の就航都市数は約100あるが、アジアの主要空港より30~40ほど少ない。羽田は北米路線が増えても、アジア路線が弱い。一方でかつて羽田の発着枠を増やしたときは、一部の航空会社が主要路線を成田から羽田に移した。今回も移管が起きれば、成田のハブ空港としての機能は下がる。

成田は都心への移動手段もカギとなる。東京駅方面の最終電車は同空港を午後11時前後に発車する。JR東日本は成田国際空港会社(NAA)から終電の繰り下げの検討要請があったと明かすが「保守時間をどう確保するかなど課題は多い」という。

宿泊施設はまだ足りない。不動産サービス大手のCBRE(東京・千代田)の推計では、東京23区では20年に3500室が不足する。訪日客が訪れ始めた地方でも札幌、名古屋、福岡で計7千室ほどが足りなくなるという。

18年6月に施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)での民泊の届け出数は1万3千件超にとどまる。ホテル不足を補うほどには育っていない。

羽田の新ルートは騒音や落下物への懸念も根強い。国土交通省は18年12月~19年2月に計36回の日程で5巡目となる住民説明会を開催。2月13日に記者会見した大田区の松原忠義区長は「今後も丁寧に説明してほしい」と語った。

品川区ではJR大井町駅周辺の上空約300メートルの高さを飛行する計画だ。区の都市計画課は「増便は国の事業だから騒音や落下物の対策は国が実施すべきだ」とする。

国には騒音が一定以上の住宅を対象にした防音工事の補助制度があるが、大田、品川の周辺区は基準を下回り対象にならない。一方、学校や病院、保育施設などは基準を満たすか調査中だ。

落下物は今年1月から国内の航空会社、3月には外国の航空会社に対策を義務付けた。整備・点検の実施や教育訓練、機体の改修を求めている。国交省は「住民の声を聞きながら追加対策も検討したい」(首都圏空港課)とする。

[日本経済新聞朝刊2019年3月10日付を再構成]

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