オリパラ

アスリートを支える

空手元女王が挑む五輪審判員 教え子に舞台残したい

2019/3/26

高校生の大会で主審を務める三觜さん(2019年1月、埼玉県上尾市)

試合会場で表情が緩むことはまずない。主審を務めれば、「はじめッ」「有効ッ」と高く鋭く太い声がよく通る。2020年東京五輪で追加種目となった空手に、審判員として参加をめざす三觜(みつはし)直子さん(51)。かつて選手として日本空手協会全国大会を制したこともある元女王を新たな挑戦に駆り立てるのは、教え子たちへの思いだ。

東京五輪で空手の審判員になれるのは世界各国から約30人。国際大会での実績や英文の筆記試験をもとに世界空手連盟(WKF)が公認する資格は最低条件。国内には三觜さんを含め有資格者が20人ほどいるが、具体的な選定基準は現時点で未定。自国代表の対戦には立てないため、有力選手が多い日本から審判員になるのは容易ではない。

「自分も変わってみたい」

三觜さんは渋谷教育学園幕張高校の1期生(19年2月、千葉市美浜区)

空手の魅力は「日々の成長が自分ではっきりわかる手応え」。そう語る三觜さんは母校、渋谷教育学園幕張中学・高校(千葉市美浜区)に事務職員として勤務するかたわら、空手道部の顧問を務める。高校生の試合をサポートしようと2000年に始めた審判員のキャリアは、一般も対象とする地方の大会から全国、アジア、世界へとレベルを少しずつ上げてきた。

空手に出会ったのは高校時代。最初はバスケットボール部に入ったが、新設校の1期生は先輩もおらず「サークル的な雰囲気」だった。ところが体育館に行く途中で必ず目にした道場には違う空気が流れていた。初心者の同級生たちが大きな声で気合を出し、必死に基本練習を繰り返す。「どんどんそれがサマになって、上手になっていくのが見ていてわかった。何これ、こんなに変われるものなのって驚いたんです」

何かが足りなかった青春の日々。「自分も変わってみたい」。2年生の夏、大の親友と一緒に入部し、何かを取り戻すように打ち込んだ。「回し蹴りも足を上げただけでは体が回らないけど、腰や膝の使い方、軸足の支えを意識したらできた。鍛錬を続けたら頭で考えなくても自然に動けるようになった。その面白さに取りつかれた」

オリパラ 新着記事

ALL CHANNEL