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私のモノ語り

上白石萌音 友達にもらったノートは心の栄養剤

2019/3/22

「ノートに書くのは、手書きのほうが温かみがあって好きだから。ノートを持っていないときに好きな言葉に出合ったらとりあえずスマホに書きます。でも後で必ずノートに書き直しますね」(写真:藤本和史)

周防正行監督の『舞妓はレディ』(2014年)で映画初主演。大ヒットしたアニメ映画『君の名は。』ではヒロインの声を演じて話題となった上白石萌音さん。19年3月21日公開の映画『L・DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』で、上白石さんは女子高生・西森葵を演じている。映画の主人公と同様に「心配性ですぐにヘコむ」という彼女を支える本やノート、「妹の胃袋をつかんでいる」という得意料理などを語ってもらった。

■心を持ち上げてくれる愛読書と「言葉の収集ノート」

「最近、今までで一番っていうくらい読書好きの波が来ておりまして、いっぱい本を読んでいます。なかでも、一番大事にしている本が、角田光代さんの『さがしもの』(新潮文庫)。本にまつわる短編集で、読むたびに本への愛情が湧いてくる本なんです。高校生の時に古本屋さんで手に取って以来、枕元にいつも置いていて、心が弱っているときにパッと開いて読む。心の栄養剤みたいなところがありますね。

その本のなかに、好きな言葉をノートに書き写している男性が出てくるんです。すてきな趣味だなあと思って、私も最近、心を突いた言葉を書くノートを作りました。大きさは、B6くらいかな? ノートって、プレゼントされたりして『これはとっておきの用途で使おう』と思うと、たまっていきません? そうやってストックしていたノートの中から、友達がタイへ旅行に行った時に買ってきてくれたノートを使いました。表紙に女の子の絵が描かれていて、それが私にそっくりだからと買ってきてくれたんですよね。『よし、今だ!』と言葉の収集ノートにして、ようやく一冊、有意義に消化できました」

「手書きの文字にして初めて、すっと自分の中に言葉が入ってくる気がします」

1ページに1個、お気に入りの言葉を引用し、著者、題名、何ページと記入。『さがしもの』から抜き出したのは、「いつだってそうさ、できごとより、考えのほうが何倍もこわいんだ」という言葉だという。

「私はすごく心配性で、自分で言うのも何ですけど、想像力が豊か。何でも悪い方に重く重く考えちゃうんですよ。でもその一文を読んだ時に、『起こったら、なんともないことの方が多い。思っているより大丈夫だよ』って言われた気がして、すごく気が楽になりました。『さがしもの』には、そういう温かい言葉がいっぱいありますね。

ほかにノートに書いたのは、伊坂幸太郎さんのエッセー『仙台ぐらし』(集英社文庫)の中の『今踊っているダンスを踊り続けなさい』という言葉。これは伊坂さんが震災後、『自分はこのまま小説を書いていていいのだろうか』と悩んでいた時に、外国のお友達にかけられた言葉らしいんです。そしてその言葉の後に、伊坂さんの言葉で『それ以上のことを自分の仕事に望むのは傲慢だと思う。ただ与えられたことを淡々と、誠実にやるしかない』って書かれていて。それって真理だし、すごく謙虚で誠実な考え方だなと心に刺さりました。

お仕事をしていると悩むことやヘコむことも多いんですけど、言葉の収集ノートは、そういう時に心をクイッと持ち上げてくれます」

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