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男性の発言制限・飛び級昇進 女性登用はここまでやる

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育児支援策の充実など働く環境の整備が進む一方で、日本の女性管理職の比率は2割足らずと低い。育成面で課題が残る企業が多い中、積極的改善措置(ポジティブアクション)に踏み込んでいる企業に迫った。

一人三役制度で支援型の空気醸成

「今から男性は発言禁止です」。せんべいなどの製造を手掛ける三州製菓(埼玉県春日部市)は会議時間中に男性の発言禁止タイムを設けている。若手女性が発言しようとしても、声の大きい男性ベテラン社員に一蹴されて最後まで話を聞いてもらえないことが多々あったという。「菓子を買う客の中心は女性なのに、女性の声を聞かないのは本末転倒」と斉之平伸一社長の鶴の一声で始めた。

当初、社員らは困惑気味だったが、徐々に女性社員らの声を聞く風土が育った。その成果として女性発の01年の新商品「揚げパスタ」はデザインを変えたり、小分け包装にしたりと工夫を重ね、今や売り上げの25%を支えるヒット商品に。「大切なのは役員が明確な姿勢を示すこと」と斉之平社長は話す。新卒女性社員を採るようになり、14年から正式に制度化した。

小3の男の子を育てながら商品企画を担当する小菅恵美さんは会社の働きやすさに太鼓判を押す。支えるのが一人三役制度だ。急な病欠でも同僚にスムーズに仕事を引き継ぎやすいよう、1人が3種類以上の仕事を覚える。互いにフォローしあえる仕組みだ。

社内の全職種で適用し、例えば斉之平社長は20代の女性から経理の仕事を学ぶ。この仕組みのおかげで海外旅行などの長期休暇の調整がしやすいと、子育て女性以外の社員からも好評だ。「競争ではなく支援型、お互いさまの空気が安心して働ける職場づくりにつながる」と斉之平社長。

時短勤務の電車運転士

男性職場という印象が強い鉄道業界にも女性のポジティブアクションは広がる。小田急電鉄の深沢朝美さん(35)は運転士ながら時短勤務という、業界では異例の存在だ。2人の子どもを保育園に送った後、8時半ごろ出社する。運転士として何千人もの客を時間通り運ぶ仕事をした後、子どもたちを迎えに行くために午後2時半には乗務を終える。「子どもを育てながら責任ある運転士の仕事を続けられるのは充実している」と深沢さん。

同社は16年に時短ダイヤ運用に踏み切った。女性乗務員の採用は02年に開始。乗務員の女性比率は約5%と一般業種と比べて決して高くはない。これまで時短勤務者は事務室で事務補佐をしたり、清掃をしたり、と補助的な扱い。深沢さんは1人目の妊娠がわかってからは法制度に従って本社勤務だったが、「会社に所属するだけで貢献できていない」と申し訳ない気持ちだったという。

1本の走行区間は1人の運転士が担当するのが慣例。さらにそれを前提に複雑な鉄道ダイヤを組んでいるため、時短勤務者に対応する制度導入には3年かかった。時短勤務で人が足りない時間は運転士資格を持つ管理職らが引き継ぐ。従来管理職は事故などの緊急時や急な欠員対応で乗務にあたる程度だったが、「保安設備の更新や停止位置の感覚など、定期的に乗務すると普段の目配りが違う」(管理職の遠藤則夫さん)と自らの仕事にも生きる。

主任級から係長越えて課長に昇進も

主任級から係長を飛び越えて課長になれる独自の人事制度「アーリーエントリー」をつくったのは大和ハウス工業だ。これまで合格した6人のうち5人が女性で、女性管理職増加に一役買っている。塚本千鶴さん(40)は16年、上司の推薦を得て合格、課長職に飛び級昇進した。入社5年目から誰でも挑戦できる。

塚本さんのキャリアは住宅展示場のスタッフから始まった。「寿退社していく先輩女性を見ながら、自分もいずれ結婚したら辞めなくてはならないのか」と漠然と思っていた。それでも仕事が好きで、厳しい上司の要求に応えるのに夢中になった。昇進を打診されたときは「次のステージで何ができるのか挑戦したい」と素直に思えたという。

塚本さんは昇進してから、育児休業中の社員の不安な声を拾い、託児サービス付きのランチ会などを企画した。他部と連携しながら課題を見つけ、ルールや制度を整備していく手腕は「自他共に認める」(人事部の須藤昇さん)と評価は上々だ。管理職の仕事に応えられる人材を発掘したい同社にとって良き例になっている。「飛び級は女性だけにとどまらず、転職者などの実力評価にもつなげていきたい」と同社人事部。

こうした女性の活躍を促す施策を「逆差別」「上げ底人事」などと批判する声があるのも事実だ。しかし、「米国では人種や性別などを理由に昇進や賃金の不利益が生じた場合、優遇措置を講じるのは逆差別にあたらないと厳格に定義されている。5年間、賃金を20%増しで支払うことが許されている」とリクルートワークス研究所人事研究センター長の石原直子さん。

日本のポジティブアクションは実力相応の評価や育児を担う女性の働き方を支える制度設計など「当たり前のことをやっているだけの場合がほとんど」(石原さん)。女性の活躍に企業の本気度が試されている。

できることはまだ多い ~取材を終えて~

「育児休業を取り、時短勤務を受け入れてもらいながら仕事をさせてもらってありがたい」。今回取材をしながら、働く女性たちからはこんな言葉をしばしば耳にした。ある企業の人事担当者からは「女性の活躍の施策はやり尽くした感がある」といった声が。「これ以上の昇進や制度充実を望むのはぜいたく」とも聞こえた。

確かに育児支援策が充実し、子育てをする年代に働く女性の割合が低下する「M字カーブ」も解消しつつある。しかし、女性が働き続けることだけが女性の活躍ではない。女性管理職の比率は世界的に見劣りする水準。女性社員の能力発揮に向け、多様な機会を与えるなど、企業ができることは多い。手綱を緩めることなく、さらなる工夫に期待したい。

(松原礼奈)

[日本経済新聞朝刊2019年3月11日付]

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