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著者に聞く 仕事の風景

「お約束」あえて踏み外す オンリーワン人材への道 『チェンジメーカーになろう。』 河村洋子氏

2019/3/13

なぜだか好成績をあげている働き手が、周囲とどう違っているのか分析してみる――。これがPDの入り口だ。そのうえで「逸脱者」のやり方を別の人がまねしてやっても似たような効果を得られるかを分析する。

河村氏は「重要なのは、具体的な行動を抽出する点だ」と指摘する。たとえば、「丁寧な応対」「繊細な気配り」といった抽象的な分析にとどまるようでは、まねできたかすら判然とせず、効果も検証できない。「顧客訪問の後、1時間以内に御礼や確認のメールを送る」「手書きの礼状を書く」といったところまで見るのが、PDのコツだという。

PDの活用法は、まねだけではない。自分が「例外的な2.5%」になれれば、その方法論を煮詰めていけるし、自分だけの切り札的なメソッドに磨き上げていく可能性も広がる。たとえば、会合の場所をいつもの会議室から移してみるとか、参加メンバーを変えてみるといった「小さな変化から始めて構わない」(河村さん)。たくさんのバリエーションを試して、成果の出たものだけを、さらに掘り下げていけば精度も上がっていく。

■チェンジメーカーへ 歩みは少しずつ

河村氏が勧めるのは、「ちょっとの繰り返し」だ。実際、チェンジメーカーに至る道は試行錯誤だらけともいえる。正攻法のアプローチからはみ出すのだから、失敗もつきまとうだろう。しかし、それにいちいち懲りているようでは、「例外的な2.5%」になりようがない。

初めのうちは結果が出ないケースが続いても、へこたれずに次の「奇手」に挑戦していくのが意外なブレークスルーと出会う最善の方法だという。「標準から外れた、いろいろな方法を、たくさんのパターンで試して、その結果をきちんと確認するのがチェンジメーカーになる第一歩」(河村氏)だ。

イノベーションと呼ぶのは大げさな、小技レベルの工夫でも、積み重なればメリットは小さくない。たとえば、インフルエンザ感染を防ぐため、エレベーターのボタンをひじで押すような工夫は、職場全体の健康管理にも役立つ。今では常識になった、勤め先への「置き傘」「置きレインシューズ」も、最初に試した人がいるはずだ。近頃はライフハック的な情報を発信しているメディアも少なくないから、手軽に始めやすいところから挑戦してみると、新たな気づきに出合えるだろう。

河村洋子
静岡文化芸術大学・文化政策学部准教授。専門はヘルスコミュニケーション、健康行動科学。1998年中央大学法学部法律学科卒。2006年米アラバマ大学バーミングハム校公衆衛生大学院で博士課程を修了し、Ph.D取得。ベネッセ教育研究開発センター、国立がんセンター、熊本大学政策創造研究教育センターを経て、17年4月から現職。

チェンジメーカーになろう。

著者 : 河村 洋子
出版 : 幻冬舎
価格 : 1,296円 (税込み)

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