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木島葉子・アフラック取締役上席常務執行役員

木島葉子・アフラック取締役上席常務執行役員

管理職として活躍する女性が仕事やプライベート、働き方への思いを自らつづるコラム「女性管理職が語る」。女性管理職が交代で執筆します。今回は、アフラック取締役上席常務執行役員の木島葉子氏です。

◇  ◇  ◇

昨年の今頃、私は不注意でひざを骨折してしまい、松葉づえの生活を余儀なくされました。骨折直後は「会社にいけない」「仕事ができない」「みんなに迷惑をかける」とあれこれ悩んでいました。実際はちゃんと出社もでき、周囲のサポートのおかげで仕事もできました。何よりも不自由さゆえに多くの気づきもあり、仕事の本質をさまざまな角度から考え直すいい機会となりました。

まずは、仕事についてです。一昔前であれば、自己管理ができていないと上司に怒られ、自分自身も仕事ができないことで大きなフラストレーションを抱えたことでしょう。しかし、今は時間と場所に捉われない働き方ができる時代です。当社も数年前から在宅勤務を導入していますので、ここぞとばかりに活用しました。担当業務によって異なるとは思いますが、私の場合は、自宅のパソコンとスマートフォンだけで、オフィスとほぼ同じ状態で仕事をすることができました。

実際に自分が在宅勤務をして、在宅での仕事の仕方が自然と身に付き、他の人が在宅勤務をするときにもその経験を生かすことができます。例えば、会議の資料を事前に共有しておけば、電話の参加でも発言はスムーズですし、実際に会議室にいるときと変わらない成果が出せます。

在宅勤務は育児や介護のほか、私のようなケガなど、特定の状況にある人が活用するものと考えがちです。しかし、今回の経験でつくづく思ったことは、仕事の仕方の選択肢の一つとして在宅勤務を自分の生活に取り入れることで、仕事の生産性の向上にも、プライベートの充実にもつながるということでした。

例えば、企画書やリポートの作成など集中して行いたい仕事は、在宅勤務に向いています。また、家で用事があるときには、わざわざ出社せずに在宅で仕事をすることで時間を効率的に使えます。外出先から無理に職場に戻らなくても家でも仕事ができるはずです。当社では、単身赴任中の社員が、金曜日や月曜日に家族がいる自宅で在宅勤務を活用することで、家族と過ごす時間が多く取れるようになったという声も聞きます。

次に骨折したことで知り得たことですが、普段は無意識にやっている「歩く」という作業が、こんなにもさまざまな筋肉を使う作業だったのかということです。松葉づえでの階段の上り下りにも苦戦しました。家の中のちょっとした段差にも私の行く手を阻まれました。「バリアフリー」というもののありがたさを、本当に実感しました。

普段は無意識にしていることを改めて意識してすることは難しいのですが、一方で、基本に立ち返ることができるようにも感じました。無意識に進めている仕事についても、同じではないかと思い、そもそもの目的やあるべき姿に立ち返って考えてみたりしています。

人の温かさを改めて感じることも多々ありました。会社の同僚には大いにサポートしてもらい、一生頭があがらないくらいです。人を思いやることや人へ温かさを伝えることは人間でなければできないとつくづく思いました。この経験も、これからの仕事に生かしたいと思っています。

きじま・ようこ
 1986年実践女子大卒、アフラック入社。2006年契約管理企画部長、12年執行役員、17年常務執行役員、18年から取締役上席常務執行役員。

[日経産業新聞朝刊2019年3月7日付]

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