学生の本分守れない 大学スポーツ協、有力校が不参加筑波大学長 永田恭介

永田学長は「人間としての成長を一番に考えたい」と訴える(写真は筑波大硬式野球部、2018年10月)=同大提供
永田学長は「人間としての成長を一番に考えたい」と訴える(写真は筑波大硬式野球部、2018年10月)=同大提供

スポーツ庁の肝煎りで3月1日に発足した大学スポーツの統括組織「大学スポーツ協会(UNIVAS)」。学業の充実、学生の安全・安心、スポーツの収益化を目的に掲げていますが、複数の有力大学が参加を見送りました。そのうちの一つ、筑波大の永田恭介学長は「競技団体が大学と同格で参加しているのはおかしい」と指摘します。背景には、学業よりも競技力の強化を優先してきた競技団体に対する不信感があります。

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筑波大の永田恭介学長

UNIVASに筑波大は参加しませんでした。学生スポーツの改革を真っ先に訴え、2018年春には学内の運動部をマネジメントするアスレチックデパートメントも設置したのになぜ、と疑問を持たれた方も多いのではないでしょうか。この場を借りて、説明させていただきたいと思います。

UNIVAS設立の理念や目的にはまったく異論はありません。取り組む活動の内容もほぼ賛成できます。ただ、学生競技連盟(学連)、さらに中央競技団体(NF)までが大学と同じ正会員として加わった組織になってしまった。それが納得できない最大の問題でした。

なぜ、学連が同じ正会員ではだめなのか。その理由は大学と競技団体である学連では、そもそも学生スポーツに対する目的や位置づけが異なっているからです。

大学と競技団体、目標が異なる

大学は学生アスリートの人間としての総合的な成長を一番に考えなければいけません。それに対して、学連は大会や試合の主催者として競技の日程を優先させる必要があるし、NF傘下の組織として日本チーム、選手を強くすること、競技力向上が大きな目標になります。

例えば、UNIVASでは一定以上の学業成績を残さなければ試合や練習に参加できないルールの導入を検討します。とても良い取り組みだと思いますが、大学側がB以上などの基準を決めた結果、有力選手の多くが試合も練習もできない事態になれば、学連側からもっと基準を下げてください、と求められるでしょう。しかし、UNIVASの趣旨からして、これはそもそも大学と学連が相談して決める問題でしょうか。公平な競技環境の実現や学生らしい生活を送るための練習時間や練習日数の制限などでも、同じ問題が起きるでしょう。

NFが学生から日本代表を選ぶ際、大学には何の相談もないのが現状です。学生の成績や授業の履修状況などまったく考慮しないで、選抜して代表合宿に参加させ、海外遠征にも連れて行く。本人も普通は喜んでそれを受け入れ、周りのチームメートはうらやましいと思い、一般の学生たちは「彼はなんのために大学にいるのか」と感じる。これでは学生アスリートを自分たちの仲間として応援する気など起きないでしょう。