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自転車でUSJへ 訪日客、シェアサイクルで街巡り

2019/4/5 日本経済新聞 夕刊

大阪市のベイエリアでは自転車に乗った訪日外国人の姿が目立つ

大阪を訪れる外国人客の間で、平たんな湾岸部を自転車で周遊する動きが広がっている。点在する観光スポットを結ぶ移動手段の乏しさが課題だったが、貸し出しサービスが充実し、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市此花区)に自転車で向かう人も目立つ。専門家は「利便性が高まれば、観光客をさらに呼び込める」と期待する。

大阪市内では渡し船にも自転車で乗れる(天保山の渡船場からUSJに向かう外国人ら)

2月下旬、関西を旅行中の中国人女性(27)が宿泊先のゲストハウスで借りた自転車で軽快に走っていた。目的地は同市港区の水族館「海遊館」。近くの駐輪場に止めて大水槽で魚などを観賞した後、市営の渡し船で自転車ごと対岸へ移動し、USJへ行くという。「自転車に乗って観光名所を巡る旅そのものが楽しい」と笑顔を見せる。

ベイエリアは最近、自転車に乗った外国人の姿が目立つ。シェアサイクルのサービスを提供するオープンストリート(東京)は2018年8月、外国人の需要を見込んで大阪市港区の商業施設「大阪ベイタワー」に20台の貸し出し拠点を設けた。

料金は15分につき60円で1日最大1千円。同社によると、USJや天保山(同区)、人工島の舞洲(此花区)などを回る利用者が多いという。

ベイエリアは大阪のキタ、ミナミに続く第3の繁華街「ニシ」として発展が期待される。ただ、人気スポットは点在し、キタやミナミに比べ鉄道やバスの便も多いとはいえない。湾岸部の活性化を話し合うため、大阪府が17年に主催した官民の意見交換会では、観光関連企業から「観光名所をつなぐアクセスが少ない」との指摘が上がった。

関係者が課題解決の手段として着目したのが自転車だ。自転車産業振興協会によると、府の1世帯あたりの自転車保有台数は1.5台で全国2位。住民には欠かせない足となっており、川の多い湾岸部は地下トンネルや渡し船が整備されているほか、舞洲へ通じる橋も自転車で渡りやすいようにらせん状のスロープが設けられている。

大阪市港区は民間企業に市有地を貸し出し、区内5カ所で3月からシェアサイクルを始めた。担当者は「周遊を促してベイエリアでの滞在時間を延ばしたい」と意気込む。舞洲に拠点を置く観光施設の運営企業なども共同でシェアサイクル事業の展開を検討している。

埋め立て地が多くて平たんな大阪のベイエリアは自転車の利用に向いている。大阪産業大の小川雅司教授(観光経済学)は「多くの観光スポットを巡り、滞在時間が延びれば消費の拡大も期待できる」と指摘。その上で「利用拡大には、自転車専用道の整備や駐輪場の増設といったハード面の投資も重要だ」と話している。

(高橋彩)

[日本経済新聞夕刊2019年3月7日付]

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