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はしか感染、さらに拡大の恐れ 疑いあれば電話で相談

Dr.今村の「感染症ココがポイント!」

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

気になる感染症について、がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長の今村顕史さんに聞く本連載。今回は「麻疹(はしか)の感染拡大」について解説いただく。国立感染症研究所の発表によれば、2月24日までの日本全国の感染報告数は258人。2014年の流行時には年間462人の感染者数を記録したが、過去10年間を含めても最多ペースで急増している。春休みやゴールデンウイークなど人の移動が増える時期を控えた今、流行地域以外でも注意が必要だ。

【ココがポイント!】
●今回の麻疹流行はすでに感染経路が追えなくなってきており、今現在は発生していない地域でも今後感染者が出る可能性はある
●麻疹は「空気感染」のため、感染力が非常に強い
●10~12日間の「潜伏期」があり、発症から5日間程度の「カタル期」には風邪と似た症状しか出ないため、初期での診断が難しい
●麻疹に感染すると脳炎や肺炎などの合併症を起こすリスクがあるほか、免疫力が低下した状態が続き、他の感染症にかかりやすくなることがある
●最も有効な予防策はワクチン接種
●流行時に風邪のような症状に加えて高熱や発疹が出たときは、保健所や医療機関にまず電話で相談。本人がマスクを着用するなど麻疹を疑って行動する

流行拡大で感染経路が追えない状況に

――2019年に入ってから大阪府や三重県を中心とした近畿圏で麻疹が流行し、現在は東京都や千葉県、神奈川県など関東圏にも拡大してきています。

近畿圏での流行は、三重県津市での宗教団体による研修会、大阪市内の商業施設でのイベントなどから広まり、近畿圏に拡大しました。

2018年3~5月の沖縄での麻疹流行時にも「はしか流行 感染を防ぐには予防接種が必須」の記事でお話ししましたが、日本の麻疹は2015年3月27日から、日本特有のウイルスによる麻疹が3年以上発生していない「排除状態」となり、現在では「輸入感染症」と考えられています。ただ、海外から持ち込まれることをきっかけに、国内での感染が広まることは度々あります。

麻疹を診断した医療機関には保健所への届出義務があり、麻疹の報告を受けた保健所は、その患者の発症までの行動などを確認する接触者調査を行います。そのため、発生した当初は感染経路が明らかになりますが、二次感染、三次感染、それ以上となっていくと、追跡が困難になっていきます。

現在はすでにその状況にあり、今の時点で麻疹が発生していない地域でも、これから発生、拡大していく可能性があります。

同じ空間にいただけで感染のリスクが

――例えば、2019年2月には、大阪府が新大阪・東京間の東海道新幹線を利用した40代の女性が麻疹に感染していたとして、乗車していた列車番号を公表。川崎市でも東南アジアから帰国した男児の麻疹感染が分かり、利用した鉄道や商業施設を発表し、注意を呼びかけていましたね。

それは、麻疹は非常に感染力が強い「空気感染」をするからです。現在、麻疹と同様に流行している風疹も、インフルエンザの2~5倍といわれる感染力がありますが、風疹はくしゃみや咳(せき)などによる「飛沫感染」による感染なので、同じ空間にいても距離が離れていれば感染しないのです。

ところが、空気感染する麻疹は同じ空間にいるだけで感染するリスクがあります。そこで、流行時にはさらなる感染拡大をとどめるために、感染者が利用した交通機関や施設などに居合わせた可能性のある不特定多数の人に向けて、注意を呼びかけることがあります。

 麻疹は免疫がない人が感染すれば、ほぼ100%発症します。ただ、感染しても10~12日間は症状が出ない潜伏期間があり、発症から5日間程度の「カタル期」には鼻水やくしゃみ、咳、喉の痛みといった風邪のような症状しか出ません。この時期に麻疹ウイルスに対する抗体検査を受けたとしても、まだ抗体価の上昇は見られないことが多いため、初期に麻疹と診断するのは極めて難しいといえます。しかも、カタル期が最も感染力が強いので、「風邪かな?」などと思っているうちに、感染を広げていってしまうのです。

麻疹感染後は、他の感染症も発症しやすくなる

――風疹では免疫のない女性が妊娠初期に感染すると、生まれてきた子どもに難聴や白内障などが生じる先天性風疹症候群を発症する可能性があるといわれますが、麻疹でも重症化するケースはありますか。

麻疹の場合は、感染した本人にとっては、麻疹の方が重症となるリスクが高く、脳炎や肺炎で死亡することもあります。乳幼児が感染すると、数カ月、数年とたっていくうちに、知的障害、性格変化、脱力発作、歩行異常などの症状が進行していく亜急性硬化性全脳炎(SSPE)をまれに発症することもあります。妊婦が感染すれば、流産や早産、死産を招く危険もあります。

また、麻疹に感染すると、免疫力が低下します。麻疹の症状が回復しても、数カ月から長ければ1年程度、免疫力が下がったままの状態が続くこともあり、他の感染症にかかりやすくなります。

流行時に発熱や発疹があれば、麻疹を疑って行動を

――感染初期には本人が麻疹と気づいたり、医療機関で麻疹と診断するのは難しいということですが、感染しない、感染を広げないためにはどうすればいいでしょうか。

麻疹に感染したことがなく、これまでに予防接種をしたことがない人や、予防接種をしたことはあっても1回だけという人は、免疫がないか十分ではないため、ワクチンを接種しておくことが最も有効な感染予防策になります(ワクチンについては以前の記事「はしか流行 感染を防ぐには予防接種が必須」を参照してください)。

風邪のような症状があり、2~3週間以内に麻疹が発生した場所を訪れたり、麻疹を発症した人と接触した可能性があったりするときは、感染している可能性があります。

ただ、現在のように、二次感染、三次感染と拡大しているときには、身近に麻疹に感染した人がいなくても、いつ、どこでウイルスにさらされているか分かりません。高熱や発疹が出てきたときには、麻疹と疑って行動した方がよいでしょう。その際は、最寄りの保健所か医療機関に電話をして相談し、指示を受けるようにしてください。そのまま受診してしまうと、移動中や医療機関で感染を広めてしまう恐れがあります。

特にこれからは、学生の春休みや社会人の異動・転勤などで、人の移動が増える時期です。ゴールデンウイークは10連休になる企業もあり、海外旅行へ出かける予定の人も多いでしょう。麻疹の流行がさらに拡大する恐れがあることを念頭に置いて、注意してほしいと思います。

(ライター 田村知子、図版作成 増田真一)

今村顕史さん
がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長。1992年浜松医科大学卒業。駒込病院で日々診療を続けながら、病院内だけでなく、東京都や国の感染症対策などにも従事。日本エイズ学会理事などの様々な要職を務め、感染症に関する社会的な啓発活動も積極的に行っている。自身のFacebookページ「あれどこ感染症」でも、その時々の流行感染症などの情報を公開中。都立駒込病院感染症科ホームページ(http://www.cick.jp/kansen/)

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