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日本のがん患者なぜ減らない 米国は減少、検診に差

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NIKKEI STYLE

厚生労働省は1月、2016年に99万人が新たにがんの診断を受けたと発表しました。がんになる人は増え続け、日本人は生涯に2人に1人がかかる計算です。一方、米国では新たにがんになる人が減少に転じています。日米でどうして違いが生じているのでしょうか。

世界保健機関(WHO)のデータで基準をそろえて比較すると、10万人あたりの新規患者数は、日本は10年に266人と00年に比べて15%増えました。一方、米国は303人と同7%減っています。がんにかかる割合は日本の方が低いとはいえ、推移をみると日米で逆の動きをたどっているのです。

がんにかかる部位のデータを見ると、日米の違いを生む要因が浮かんできます。たとえば肺がんにかかる男性の割合は、米国では00年比で21%減った一方、日本は6%増えました。国立がん研究センターの松田智大・全国がん登録室長は「たばこ対策の違いが大きい」と指摘しています。男性の16年の喫煙率をWHOのデータで比較すると米国は25%に対して日本は34%でした。喫煙率が早くから低下した米国では、肺がんがはっきりと減っているのです。

女性は日米とも新規患者数が最も多い乳がんで大きな違いが生じています。米国は乳がんによる死亡率が13年までの20年で36%下がった一方、日本では逆に33%上昇しています。乳がんの死亡率の上昇は「先進国では珍しい現象」(松田氏)といい、要因の一つが早期発見の遅れです。自治体などが乳がん検診の受診を呼びかけているものの、15年の日本の受診率は41%と米国の80%や先進国平均の61%を大きく下回っています。

検診の問題は乳がんにとどまりません。新規患者数が日本で最多の大腸がんを見ると、10万人あたりの死亡者数(男性)が米国では年々低下して13年に10人だったのに対し、日本は15人と高止まりしています。東京大学医学部付属病院の中川恵一・放射線治療部門長は「米国では、大腸がんを内視鏡で早期発見して小さいうちに取り除く手法が定着しているが、日本は遅れている」と話しています。

検診の質にも課題があるようです。がん検診に詳しい青森県立中央病院の斎藤博・医療顧問は「海外では検診による死亡率の低下など効果を検証する体制が整っているが、日本では企業が実施する検診では受診率のデータすらとれておらず、効果のあがらない要因となっている」と話しています。

斎藤氏は「検診の質を上げたうえで効果を検証できる仕組みを整えるべきだ」と訴えています。がん対策のキーが喫煙と検診にあることを、海外のデータは物語っています。

中川恵一・東京大学医学部付属病院放射線治療部門長「保健の教育の充実に期待」

日本のがん対策にはどのような改善点があるでしょうか。東京大学医学部付属病院の中川恵一・放射線治療部門長に聞きました。

――日本のがん患者の増加は、高齢化が原因と言われています。

「がんは一種の細胞の老化なので高齢者が多くなれば増える傾向にあるが、日本のがんの増加は高齢化だけでは説明できない。例えば大腸がんの年間の死亡者数は日本のほうが米国より多い。日本が大腸がんの早期発見をできていないことが主因だ。米国では内視鏡が普及しており、深刻化する前に発見して取り除いている効果が大きい。日本は検便で大腸がんを調べているが、受診率は低く、内視鏡による精密検査を受ける人も少ない」

――日本は医療技術が進んでいるのに、どうして死亡者数が多くなるような事態が生じるのですか。

「根本的には、保健の教育がおろそかだったことが問題だと考えている。例えば、医者から言われたことを理解するのが難しいと考えている人の割合を調べると、日本は44%に達する。欧州連合(EU)の8カ国の平均は15%だ。検診の重要性をはじめ、保健への理解度を示すヘルスリテラシーで、日本は調査対象国のうちで最低に位置する。学校教育の現場で体育が重視される一方、保健にはほとんど目を向けてこなかったことが影響している」

――どうしたらいいでしょう。

「文部科学省は次期学習指導要領にがん教育を盛り込んだ。これから日本で始まるがん教育は、早期発見や予防の重要性を強調しており、世界でもトップレベルの水準になるだろう。こうした取り組みにより、将来は欧米並みにがん死亡率が下がっていくのではないかと考えている」

――現在、がんに苦しむ人を減らすには何が必要でしょうか。

「キーとなるのは多くの人が属する企業だと思う。自治体が主催するがんセミナーで何年か続けて講演したことがあるが、参加する市民の顔ぶれはいつも同じだ。自分はがんにかからないと思い込んでいるような人に検診に来てもらうには、強制力が必要だ。検診に向かう強制力を発揮できるのは企業だろう。厚生労働省はがん対策推進企業アクションと呼ばれるキャンペーンをしているが、もっと強力に進めるべきだ」

(高橋元気)

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