中国悲観論は行き過ぎ 株急落は投資の好機(藤田勉)一橋大学大学院特任教授

しばしば、中国の一帯一路構想が世界覇権を狙うものといわれる。しかし、かつてのシルクロード同様、これは中国の経済発展に必要なのであって、決して中央アジアやアフリカを軍事的に征服することを狙ってはいないと考えられる。

米中対立は長期化し、一時的にせよ、株式市場はそれらの影響を大きく受けることであろう。しかし、世界の覇権を巡って、両国が決定的に対立する事態は避けられる。

経済はやや減速しているだけ、悪影響は収束か

今回の訪中でも筆者は中国で幅広くビジネスを展開している商社や銀行の幹部と面会したが、中国経済全体としてはやや減速しているだけであり、今後も比較的高い成長が続くとの印象を持った。

訪日外国人客数の統計によると、中国の訪日客数は依然として高水準で増加している(19年1月は前年同月比19%増)。もし、本当に中国経済全体が著しく悪化しているのであれば、悠長に日本に遊びになど来ないであろう。景況感が著しく悪化したのは電機、自動車、機械などに限られ、しかも、それらの悪影響は比較的短期で収束しつつあるようだ。例えば、乗用車販売が滞ったのは事実だが、これは小型車減税措置が17年に失効したことによるものである。

以上を総合すると、日本における中国経済の悲観論は行き過ぎである。もちろん、米中摩擦は今後も継続し、世界の株式市場を揺るがすことがあろう。しかし、中国政府は金融緩和など景気対策を実施しており、経済全体が極端に悪化することはあるまい。日本の電子部品、ロボット、建設機械といった中国関連の景気敏感株が急落した局面は、むしろまたとない投資の好機となるであろう。

藤田勉
一橋大学大学院経営管理研究科特任教授、シティグループ証券顧問、一橋大学大学院フィンテック研究フォーラム代表。経済産業省企業価値研究会委員、内閣官房経済部市場動向研究会委員、慶応義塾大学講師、シティグループ証券取締役副会長などを歴任。2010年まで日経ヴェリタスアナリストランキング日本株ストラテジスト部門5年連続1位。一橋大学大学院修了、博士(経営法)。1960年生まれ。
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