中国悲観論は行き過ぎ 株急落は投資の好機(藤田勉)一橋大学大学院特任教授

福音派は16世紀の英国のピューリタン(清教徒)にルーツを持つ。穏健な宗教改革を目指す英国国教会は、国王の権威を否定し急進的な宗教改革を求めるピューリタンを厳しく弾圧した。1620年、ピューリタンは信仰の自由を求め、米国の東海岸に入植したが、これが福音派のルーツである。このため、福音派は信仰の自由を中心とするキリスト教的な価値観を大変重視する。

18年(1~11月年率換算)の米国の対中輸出は13兆円、同輸入は59兆円と、米国の対中貿易赤字は46兆円に上る。トランプ政権は引き続き強力な圧力をかけ続けることであろう。ただし、貿易不均衡は中国が米国からエネルギーや食糧などを輸入すれば、ある程度は解決する。

中国政府が妥協できない深刻な問題は信仰の自由である。福音派の信者であるペンス副大統領は、中国政府が新疆ウイグル自治区のイスラム教徒、チベット自治区のチベット仏教徒を弾圧していることを厳しく批判している。中国政府が宗教弾圧をやめることは統治体制を揺るがしかねないので、この点は妥協が難しい。これが米中摩擦が長期化すると考える理由である。

中国の一帯一路は世界制覇を狙っていない

一方で、米中が世界の覇権を巡って激突する可能性は低い。米国の伝統的外交戦略はモンロー主義(孤立主義)であるため、植民地をほとんど持たなかった。米国は資源、人口、国土などに恵まれており、リスクを冒してまで他国を征服する動機がなかったからである。

同じく、中国も植民地を持ったことがない。中国は中華思想を持ち、その伝統的な外交戦略は冊封体制(中国を頂点とする東アジアの秩序)である。中国は豊かなので、周辺国が恭順の意を示せば、侵略する必要性がない。

資源などに乏しい日本は白村江の戦い(663年)以降、豊臣秀吉の朝鮮出兵、日清戦争、韓国併合、山東出兵、満州事変、日中戦争など大陸に向けて何度も侵攻した。しかし、高度な文明や豊富な資源を持つ中国にとって、「東夷(とうい)」とさげすむ日本を侵略する動機がなかったのである。

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経済はやや減速しているだけ、悪影響は収束か
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