酒類充実、こだわり店集積 大人が楽しむフードホール
2019年2月、JR新宿駅近くにアメリカンフードホール「FOOD HALL BLAST! TOKYO」がオープンした。同日、大阪でも「FOOD HALL BLAST! OSAKA」が開店した。「フードホール」とは、いま米国で流行している大人版フードコートのことだという。新しい業態といえる日本版フードホールを紹介しよう。
「FOOD HALL BLAST! TOKYO」はJR新宿駅南口から徒歩3分の好立地にあり、店内は広々とした空間が広がる。吹き抜けになっていて天井の高さは約6メートル。明るくゆったりとした開放的な雰囲気がうれしい。
店内には6つの飲食店が集結している。
1階には「CUCINOVA(クチノバ)」、「CHRONIC TACOS(クロニックタコス)」、「Greenberry's COFFEE Roastery CO. (グリーンベリーズコーヒー)」、「BLAST BBQ(ブラストバーベキュー)」、「BAR LIT.(バーリット)」がある。ソファ席もあり、ゆったり過ごせる2階には「DRAFT PUB Bevvy(ドラフトパブベビー)」が、屋上には都心の夜空を見上げるルーフトップバー「BAR LIT. on TOP」(冬季は休業)がある。
そもそもフードホールとはどんなものだろうか。フードコートだと、ファストフードをササッと食べるイメージが強く、ファミリー層が多くて大人がゆったり過ごすには不向きだ。一方のフードホールの最大の特徴は酒類が充実していること。さらに材料や味、手作りにこだわった飲食店がそろう。そしてフードコートのように、各自が色々な店で好きな食べ物と飲み物を注文して、席に持ち寄って食べる楽しさはそのまま。いうなればフードホールは「大人がおいしく食事ができるフードコート」なのだ。米ニューヨークで誕生し、米国全土でトレンドとなりつつあるという。
まず日本初上陸の「CUCINOVA」。ここは米オハイオ発祥のカスタムピッツァ店「CUCINOVA」の日本1号店だ。24種類以上の具材、3種類のソース、4種類のチーズから好きな具材を選んで、オリジナルのピッツァを作ることができる。具材の組み合わせはなんと1億通り以上とか。世界にひとつしかない自分だけのピッツァが食べられるのはなんとも楽しい。
早速「名物!窯焼カスタムピッツア」(1280円、税別)を注文した。生地は毎日店で小麦粉から練り上げたもの。まずはトマトソース、バジルソース、照り焼きソース、ホワイトソースの4種類からベースになる味を選ぶ。ひとつにしぼれない人は2種類を選んでハーフ&ハーフにしたり、4種類全部を選んで4分の1ずつ味を変えたりできる。次にゴーダ、チェダー、モッツァレラなどのチーズを選ぶ。続いて海鮮、肉、野菜などの具材から好きなものを選んでいく。私はトマトソースとホワイトソースのハーフ&ハーフ、トマトソースの方に海鮮とアンチョビを、ホワイトソースのほうにはマッシュルームとベーコンをトッピングしてもらった。
次は職人が石窯で焼き上げる。焼き上がりを待つライブ感もたまらない。2分少々でアッという間に熱々のピッツァが焼き上がった。自分好みの具材ばかりだからうれしさも倍増だ。もっちりしながらも薄めのピッツァだから、酒のつまみにもちょうどいい。パスタ派には店内の製麺機で作った生パスタもある。
ピッツァと一緒にビールを楽しむなら、樽(たる)生ビールがそろう2階の「DRAFT PUB Bevvy」へ。バーカウンターには17本のビールタワーと10個のワインサーバーが。日本各地のご当地クラフト樽生ビールのほか、欧米でトレンドとなっている樽生シードル5種もある。ちなみに店名のBLASTはスラング英語で「超楽しい」という意味だ。自分好みのカスタムピッツァ片手にクラフトビールでチョイ飲みすれば、超楽しいこと間違いなしだ。また、1階の「BAR LIT.」には、常時30種以上のロゼワインやロゼスパークリングがそろう。
酒が苦手な人や仕事中の人は「Greenberry's COFFEE CO.」でコーヒーを楽しもう。「Greenberry's COFFEE CO.」は米国を中心に世界で20店舗以上展開する、少量焙煎とクラフトフードが特徴のクラフトカフェチェーンだ。関西には7店舗あり、日本1号店の宝塚店はタカラジェンヌもお忍びで通う店としてファンの間で注目を集めていた。コーヒー豆の焙煎機併設型の店舗として関東初進出したのが、1階の「Greenberry's COFFEE Roastery CO.」だ。
ここでは珍しい「ニトロコーヒー」(short450円、税別)を味わいたい。「ニトロコーヒー」とは水出しコーヒーに窒素ガスを加えたもの。ベースとなる水出しコーヒーはしっかりとした重めの味わいだが、これに窒素ガスを加えると軽やかでクリーミーな味わいに変化する。きめ細やかな泡と真っ黒なコーヒーの組み合わせはビールにたとえるならギネスビールの黒を飲んでいるかのよう。
コーヒーのお供にはスコーン(300円、同)がお薦めだ。「スコーンにはイタリアのスコーンとアメリカンスコーンがあります。このスコーンは米国の店舗のレシピ通りに作ったものです。外側はカリッとしていますが、中はもっちりしておいしいですよ。コーヒーにもよく合います」(FOOD HALL BLAST! TOKYOゼネラルマネージャー武荒剛さん)
1階の奥まったところには米カリフォルニア発のメキシカン「CHRONIC TACOS」がある。東京・銀座にある日本1号店は各種メディアの人気ランキングで上位に入り、新宿・大阪が国内2号店・3号店となる。こちらも自分で好きな具材を組み合わせる形で、肉、チーズ、豆、野菜、ソース、ドレッシングなどを組み合わせて、オリジナルのタコスやボウリトー(タコライス)を楽しめる。
タコスに使うトルティーヤにはコーン生地のソフトコーンと揚げコーン生地のハードコーンのグルテンフリーの生地も選べる。ホワイトライムライスとブラックビーンズ、パクチーにグリーンサルサを組み合わせてボウリトー(800円~、税別)を味わってみた。日本ではなかなか出合えない本場の味で、これはちょっとしたメキシコ旅行気分だ。「男性にはパクチーが苦手という方も多いですが、ぜひフレッシュトマトを使ったソース・ピコデガヨと一緒に味わってみてください。この組み合わせならおいしく食べられるとビックリされることも多いんですよ」(武荒さん)
ガッツリ肉を食べたい人は1階のBLAST BBQへ。溶岩石と備長炭を使った特注のグリラーで肉を豪快に焼き上げる「BLAST BBQ COMBO」(3980円、税別)はSNS映えもバッチリ。チーズフォンデュソース(300円、税別)を追加注文してチーズをかける様子を動画で撮影して楽しむ人も多いとか。
FOOD HALL BLAST! TOKYOの魅力は色々な使い方ができること。朝7時から営業しているので出勤前にカウンターでちょっとコーヒーを飲むも良し。昼は近隣のサラリーマンがランチに集まり、午後3時ごろは子ども連れのママ達がソファ席でゆっくり過ごす。パソコンを持ち込んで仕事をしたり、打ち合わせ場所として使ったりもできる。屋上のルーフトップバーは夜空を眺めながらのデートにもぴったりだ。
おいしいものをリーズナブルに、一度に色々楽しめる。何度来ても新しい発見がある。しかも新宿駅に近くて広い。カジュアルな食のアミューズメントパークを一度お試しあれ。
(日本の旅ライター 吉野りり花)
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