老後の大きな財産 企業年金の仕組みと歴史を学ぶ企業・個人年金をマネーハック(2)

確定拠出年金は自己責任のことばかりクローズアップされますが、資産保全体制の強い制度でもあります。企業が倒産しても積立金の全額が保全されますし、専用サイトにログインすれば資産状況も毎日チェックできるほど透明性があります。

自己都合で退職しても勤続3年以上であれば全額を個人型確定拠出年金(iDeCo)に持ち出すこともでき、経営者は支払い拒否をすることができません。

心配された資産運用も長期の積み立て投資を継続することにより、加入者の97%くらいはプラス運用を実現しているそうです(格付投資情報センター=R&I=「年金情報」の調査による)。

企業年金や退職金に頼り切ってはいけない

先週も解説しましたが、企業年金制度および退職金制度のアプローチは老後資産形成において欠かせないものです。こうした制度抜きに「自力で2000~3000万円ためなさい」といっても実行は困難でしょう。

老後資産形成の重要性は国民の共通認識となっており、その役割を果たす企業年金の普及は重要です。経営者に採用や充実を促す仕組みづくりが行政には求められます(場合によっては半強制の手法も考えられます)。

一方で、社員が企業年金や退職金にお任せしきって無関心であることにはリスクが伴います。制度の廃止や変更、給付引き下げの可能性はゼロではないからです。特に確定拠出年金なら在職中の期間を通じて運用と向き合っていくことが求められます。

一個人としては「企業年金や退職金に期待しつつも依存せず」という姿勢が重要でしょう。役立つ資産形成手法であることは認めつつ、同時に自助努力においても油断せずに老後に備えていくことで、老後の安心がより確実になります。

老後の準備は一本柱では成り立ちません。企業年金と私的な資産形成手段の合わせ技が求められるのです。

マネーハックとは ハックは「術」の意味で、「マネー」と「ライフハック」を合わせた造語。ライフハックはIT(情報技術)スキルを使って仕事を効率よくこなすちょっとしたコツを指し、2004年に米国のテクニカルライターが考案した言葉とされる。マネーハックはライフハックの手法を、マネーの世界に応用して人生を豊かにしようというノウハウや知恵のこと。
山崎俊輔
フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「共働き夫婦 お金の教科書」(プレジデント社)など。http://financialwisdom.jp
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ビジネスパーソンの住まいと暮らし
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