とらわれず変われ 中川政七商店、14代目は中途入社中川政七商店(下)

――なぜ秘書になりたいと思ったのでしょう。

「それまでの担当部署はすべて受け身で引き受けましたが、この秘書公募は初めて自ら手を挙げた。中川前社長のそばで彼の経営判断にふれるのが、この会社では一番面白いポジションだと思ったのです」

ひらめくロジックを形にしてほしい

「仕事を任されたエピソードとしてよく覚えているのは、私が商品課長だったころのことです。商品の企画デザインをする部署なのですが、13代社長から『デザイナーがよくいう“ひらめいた”とか“降ってきた”というロジックを、ものづくりのフォーマットにつくり上げてほしい』と言われたのです。私はデザイナー出身ですから、どちらかというとひらめく側の人間で、そのロジックなんて考えたこともなかった。もちろん、そんなフォーマットの前例はないので参考文献もないし、一人でなんとかするしかない」

「大日本市」で地域の工芸を盛り上げていきたい

「社内外のデザイナーに話を聞いて回りました。何を見たときにひらめいたのか。どういうリサーチをしたのか。そのうちに、もしかしたら、デザイナーにはリサーチした内容の構成要素を抽出するプロセスがあるんじゃないか、といったことに気づき始めたのです。そんなことを、ああでもないこうでもないと社内で話し合いました」

「その結果、デザインのリサーチシートや構成要素の抽出シートが完成。これらに書き込んでいくと、デザイナーのひらめきが可視化できるようになり、最終的には店頭でスタッフがお客様に商品開発の経緯を言葉で説明できるようになります。こういう経験で鍛えられたからこそ、いまの私があると思っています」

――「日本の工芸を元気にする!」というビジョンに賛同する企業は全国に広がっていますね。

「コンサルティング事業の講座も盛況で、担当部署の人員も増やしました。でも、どんな会社も講座を受ければうまくいくわけではない。一番うまくいかないのは、『自治体の補助金などを活用して中川さんに丸投げすればなんとかしてくれるんじゃないか』という受け身の企業。こういう案件はお受けしないことにしています」

「中川政七商店が工芸の企業に資本を出して提携すればいいのでは、ともよく言われるのですが、それは違うんです。産地がちゃんと機能することが、日本の工芸を元気にするということ。地域の一番星が輝くと、その地域に必ず後に続く企業が出て来ます。工芸が分厚くなっていけば、中川のビジネスはいくらでも広がる。そのために、16年には全国5カ所で『大日本市博覧会』を開催しました。中川政七商店と産地の作り手が協力して、工場見学や産地めぐり、物販などを展開しました。17年は福井県鯖江市、18年は三重県菰野町でも開きました。地元の人に、地元のものづくりの力に気づいてもらうという狙いもあります。各地の工芸が元気であるよう、これからもコンサル事業や展示会などで盛り上げていきたいですね」

(ライター 藤原仁美)

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