とらわれず変われ 中川政七商店、14代目は中途入社中川政七商店(下)

――300年間、中川家が継いできた会社を任せるのは思い切った人事ですね。

「『とらわれるな』。13代社長によると、これが12代社長だった父親から社長を継いだ時に唯一言われたことだったそうです。会社を絶やすなとも言われたことがないらしいです。商売だって麻にこだわらなくてもいい。『潰したら笑ったるわ』と言われたくらいだと」

入社して動きの速さに驚く

中川家はとらわれない自由さがすごい

「老舗企業が長く続く秘訣として『とらわれずに変わっていくこと』がよく挙げられますが、中川家はとらわれない自由さがすごい。変わることをいとわないのです。だから、卸売りから製造小売業(SPA)へ業態を変えたり、コンサルティング事業に乗り出したりと、新しいことに次々と挑戦していけたんだと思います」

「前社長のお母さんにも、本当に中川家と関係ない私でいいんですかと確認しましたけれど、『いいじゃない。体に気をつけて頑張って』とお守りをくれました。軽やかなんですよね」

――デザイナー出身で11年に入社した。

「美術大を卒業してから13年ほど、大阪で大手印刷会社の制作チームにいましたが、スパンが短く消費も早いグラフィックデザインの業界から、次のステージでは、もう少し長く大事にされるものづくりに関わりたいと思ったのです。私は知人にものづくりに携わる人も多いのですが、食べていけない人が多い。当時の中川社長が『明確に決算書がよくならないといけない』と話していた記事を読んで共感したのが、応募のきっかけでした。奈良に住んでみるのもいいな、という気持ちもありましたね」

「老舗だと思って入社したのですが、入ってすぐに思いました。ここは老舗ベンチャーだ、と。何しろ動きがものすごく速い。課題があればそれをテーブルに上げ、解決の方向性だけを示して、あとは現場の人間に任せるのです。13代社長がそういう経営者だったわけですが、その社風は全体に広がっている。うちの会社に一番向かないのは、変化を嫌う人だと思います」

「幸いなことに、採用に応募してきてくれる人たちはアルバイトまで含めて全員、当社のビジョンを知った上で来てくれています。社内でどこかのポストに新しい人を探したいときは、社内公募がかかります。私が前社長の初代秘書に就いた時も公募。メールで秘書になりたいという熱い思いをつづって、社長に送りました」

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