ひとり親向け児童扶養手当引き上げ 所得制限も緩和

写真はイメージ=PIXTA
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離婚や死別など様々な理由で1人で子どもを育てるひとり親家庭に国が経済的に支援する「児童扶養手当」。児童手当などほかの子育て支援と併用して受け取れます。収入が少ないなか、子どもを育てる家庭にとってセーフティーネットともいえる児童扶養手当が近年、拡充しています。

児童扶養手当は生計を一にする子どもを持つひとり親を対象としています。子が18歳の3月末まで受け取れます。子どもを前夫や親族の扶養に入れている場合も条件を満たせば対象になります。

支給額は2017年4月から物価の上下に合わせて変動する仕組みが導入され、19年4月からは1人目が4万2910円です(図)。これに第2子で1万140円、第3子以降は1人につき6080円が加算されます。18年の物価変動率に基づき、支給額は1%の引き上げとなりました。第2子以降の加算額は16年8月から、それまでの倍の金額に引き上げられました。

対象者も拡大しています。手当を満額受け取れる所得の限度額は18年8月に引き上げられました。例えば子どもが1人の場合、限度額は従来、所得57万円(収入で130万円)だったのが、87万円(同160万円)になりました。

もともと母子家庭のみが支給対象だった児童扶養手当ですが、10年8月からは父子家庭も対象になりました。

14年までは公的年金を受け取っていると児童扶養手当を受け取れませんでした。死別家庭では遺族年金を受給している人も少なくありません。

遺族年金が少額でも児童扶養手当を一切受け取れないといったケースもありました。こうした問題が見直され、14年12月からは年金額が児童扶養手当額より低い場合、その差額分の児童扶養手当をもらえるようになりました。

支給年6回に

今後は利便性も高まります。年3回、4カ月分をまとめて支給する仕組みでしたが、今年11月からは2カ月ごと、年6回となります。

児童扶養手当は申請しないと受け取れない点に注意しましょう。手続きの完了後に支給対象となり、遡っての支給は受けられません。社会保険労務士の井戸美枝さんは「離婚や死別などでひとり親になると煩雑な手続きが続くが、すみやかに市区町村に申請したい」と強調します。また、受給対象かどうか確認するために「現況届」を毎年、提出する必要があります。忘れると手当は受け取れなくなってしまいます。

前年の所得が限度額を超えると手当の一部または全額が支給されなくなりますが、所得には養育費も考慮されます。前年の所得と養育費の8割相当の金額を足して、社会保険料として一律8万円を控除した金額が「所得」となります。慰謝料や財産分与などは考慮されません。

受給資格者本人の所得だけでなく、一緒に住んでいる親族なども「扶養義務者」と呼ばれ、所得に制限があります。離婚や死別で実家に帰った場合は、一緒に住む親や兄弟らの所得によっては手当が受け取れなくなります。

ひとり親家庭が生活を安定させ、自立できるよう支援するための児童扶養手当。支給の要件や手続きなど不明な点があれば住まいのある自治体に問い合わせましょう。

[日本経済新聞朝刊2019年3月2日付]