タナロゼ2017

日本ワインの2本目はシニアワインエキスパートの筆者が持ち寄った、栃木県足利市にあるココ・ファーム・ワイナリーの「タナロゼ2017」(3000円)。最近、ワイナリーを訪れた際に試飲し、一目ぼれしたワインだ。

現在、日本各地のワイナリーで活躍する醸造家の中には、ココ・ファームで修業を積んだ人も多く、ココ・ファームのワインに対する愛好家の評価は全般に高い。

タナロゼは主にフランス南西地方で栽培されているタンニン(渋味)の強いブドウ品種タナが原料。しかし、タナロゼは渋味が比較的少なく、豊かな酸味と適度で心地よい渋味が印象的なワインに仕上がっている。

その理由は一般的なロゼワインの製法にある。ブドウを、タンニンやアントシアニン(色素成分)を含んだ果皮ごと発酵させて造る赤ワインと違い、ロゼは最終的に果皮を取り除いて発酵させるものが大半。そのため、赤ワインより色が薄く、渋味も少ないワインに仕上がる。

鈴木さんはタナロゼに関し、「ロゼにしては強めのタンニンが、味わいを引き締める役割を果たしている」と評した。

スモールフォレスト・シラーズ・ロゼ・アッパーハンター2015

最後は内田さん一押しの、オーストラリアのロゼ「スモールフォレスト・シラーズ・ロゼ・アッパーハンター2015」(3240円)。

スモールフォレストはココ・ファームなどで修業を積み、数多くの日本ワイナリーで醸造を手掛けた小林敦子さんが13年、オーストラリアの銘醸地ハンターバレーで立ち上げたワイナリー。「ボディーが非常にしっかりとしたロゼで、食事と合わせやすい」(内田さん)、「力強いので、酢豚と合いそう」(鈴木さん)など、食事との相性を指摘する感想が相次いだ。

試飲会では有名なプロヴァンスやローヌといった地域のワインは誰も選ばなかった

ロゼワインは、日本でもポピュラーなプロヴァンス・ロゼに代表されるように、軽やかな味わいのワインというイメージがある。しかし、「花冷え」という言葉もあるように、まだ肌寒さも感じる桜の季節に飲むには、「むしろ、今回、みんなが持ち寄ったような、しっかりとしたボディーで複雑な味わいのあるロゼのほうが、様々な料理にも合うし、おいしく感じるのではないか」(内田さん)との意見で一致した。

(ライター 猪瀬聖)

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