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原点はQVー10 平成デジカメ、競争の末消えた個性派

2019/3/14

初期のコンパクトデジカメはプラスチック製ボディーも多かったが、こと日本においては質感の高い金属外装を採用した機種を求める動きが強かった。金属外装モデルの元祖といえるのが、富士写真フイルム(現・富士フイルム)が平成10年(1998年)に発売した「FinePix 700」。当時は珍しいアルミ合金製の外装を採用しつつ、上部にレンズを、背面の下部に液晶パネルを搭載する縦長のスリムデザインにまとめ、見た目も重視する女性層にもヒット。それ以降、各社の中上位機種は金属外装を採用する機種が増えた。

デザインの美しさで広くインパクトを与えたのが、キヤノンが平成12年(2000年)に発売した「IXY DIGITAL」だ。金属外装の箱形ボディーをベースに、レンズの周囲に円形のプレートを配した「ボックス&サークルデザイン」が人気を呼び、現在もこのデザインコンセプトが継承されている。

平成10年登場の「FinePix 700」。金属製のスタイリッシュなボディーで女性にも人気になった
現在のコンパクトデジカメのデザインに大きな影響を与えた平成12年登場の「IXY DIGITAL」

手ぶれ補正機構は、オリンパスが平成12年(2000年)に発売した「CAMEDIA C-2100 Ultra Zoom」が初の搭載モデルとなった。

C-2100を含め、初期の手ぶれ補正機構は高倍率ズームレンズを搭載した高性能モデルに細々と搭載されていたが、一気に広めることになったのが平成16年(2004年)にパナソニックが発売した「LUMIX DMC-FX7」だ。歌手の浜崎あゆみさんが登場するテレビCMで、手ぶれ補正機構搭載のメリットを「Ayuはぶれない」と分かりやすく表現し、一般層にも浸透。実用面の高さも認知され、ほどなく「手ぶれ補正のないコンパクトデジカメは売れない」というほどの状況にもなり、ほぼすべての機種に手ぶれ補正機構が搭載されるようになった。

手ぶれ補正機構を搭載した「CAMEDIA C-2100 Ultra Zoom」は平成12年に登場
2.5型の大画面液晶を搭載し大ヒットした平成16年登場の「LUMIX DMC-FX7」

FX7は、小型軽量のスリムモデルに2.5型の大画面液晶を搭載したことでも注目された。コンパクトデジカメは、撮影と再生の両方で背面液晶を利用することもあり、もともと液晶の存在は重要だったが、日本では「画面が大きいほうが高価そうに見える」という意識もあり、より大画面のモデルが好まれたのだ。FX7以後、2.5型がしばらくスタンダードになり、2000年代後半にはひと回り大きな3型にシフトしていった。

このFX7は「金属製のスリムボディー」「手ぶれ補正機構」「大画面液晶」の3要素をすべて盛り込んだことで、コンパクトデジカメのお手本のような製品だった。デジタルカメラでは新参だったパナソニックのシェアを高める立役者となり、他社製カメラにも大きな影響を与えた。ただ、各社もこの人気3要素をすべて盛り込んでいくことで、デザインや装備も似たようなモデルが増え、デジカメの黎明期に登場したような個性派は姿を消していくことになる。

QV-10から始まったコンパクトデジタルカメラにとって、平成という時代は、多様なアプローチや試行錯誤を繰り返しながら、携帯しやすさ、撮影しやすさ、撮影の失敗を防ぐといったことを重視した実用的なスタイルに収れんしていく30年だったといえる。

(文 日経トレンディネット編集部)

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