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デジタル・フラッシュ

原点はQVー10 平成デジカメ、競争の末消えた個性派

2019/3/14

デジタルカメラの小型化はユーザーに歓迎されたが、極端な薄型ボディーを採用した製品は意外にもことごとくヒットしなかった。カシオ計算機は、平成14年(2002年)に厚さを11.3mmに抑えたカード型デジカメ「EXILIM EX-S1」を発売したが、薄さを追求するためにレンズをズームではなく単焦点とした点が嫌われた。平成17年(2005年)には、最薄部がわずか9.8mmというソニーの光学3倍ズームモデル「Cyber-shot DSC-T7」が登場したが、薄さを追求するあまり使い勝手がきわめて悪く、こちらも注目されることはなかった。

■限界が見えた画素数競争

デジタルカメラのデザインや形状は、試行錯誤の末に失敗作も多く生み出していったが、一直線に性能を高めていったのが撮像素子(イメージセンサー)の画素数だ。

撮像素子は、QV-10の約25万画素から始まり、35万画素、80万画素へと高画素化を続け、ほどなく100万~130万画素の「メガピクセル」がトレンドとなり人気を集めた。初のメガピクセル機となったのが、オリンパス光学工業(現・オリンパス)が平成9年(1997年)に発売した「CAMEDIA C-1400L」。10万円超のマニア向けモデルだったが、メガピクセルセンサーはほどなく各社の低価格帯モデルへも続々と採用が進んでいった。

その後も、撮像素子の画素数は200万画素、300万画素、500万画素、800万画素と急速にステップアップを続けていき、平成18年(2006年)にはカシオ計算機の「EXILIM EX-Z1000」がコンパクトデジカメ初の1000万画素モデルとして話題になった。

平成9年登場の「CAMEDIA C-1400L」。コンパクトデジカメも100万画素を超えるメガピクセルの時代に入る
平成18年登場の「EXILIM EX-Z1000」。メガピクセル機が登場して9年でコンパクトデジカメは1000万画素に

ただし、撮像素子の小さなコンパクトデジカメにおいては、画素数アップによる画質向上が明確に感じられたのは1000万画素前後までであった。あまりに高画素になると1画素あたりの受光面積が小さくなり、光量不足を補うために信号を増幅してノイズが増加するなど、画質面ではメリットよりもデメリットが目立つようになるからだ。

だが、その後も1200万画素や1600万画素、2000万画素と画素数は向上していった。デジタルカメラの機種選びをする際、多くの人がまず着目するのが画素数であり、メーカーも「競合製品よりも高画素のものを出さないと売れない」という意識があった。低画素モデルよりも高画素モデルのほうがより高い価格で売れることもあり、メーカー自身も画素数の向上によるメリットに疑問を感じつつも高画素化にひた走ったわけだ。

消費者もほどなく画素数競争の無意味さに気づき始め、カジュアルユーザーはiPhoneをはじめとするスマートフォンで満足してコンパクトデジカメに手を伸ばさなくなり、画質を重視する一部のユーザーは大型の撮像素子を搭載するデジタル一眼レフやミラーレス一眼に移行。こうしてデジタルカメラの出荷台数は2008年をピークに下落の一途をたどることになった。

■パナソニックが作ったヒットの3要素

黎明期は、デザインや装備に趣向を凝らした個性的なコンパクトデジカメが各社から登場したが、2000年代前半ごろにはヒットするコンパクトデジカメに欠かせない要素が固まってきた。「金属外装のスリムボディー」「手ぶれ補正機構」「大画面液晶」の3つだ。

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