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NASA公式写真家が撮った地球人 宇宙開発の歴史

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/3/10

ナショナルジオグラフィック日本版

2011年7月7日、スペースシャトル計画の最後のフライトを前に待機する「アトランティス号」(PHOTOGRAPH BY NASA/BILL INGALLS)

ビル・インガルズ氏は、NASAの上級契約フォトグラファーだ。世界を飛び回り、30年にわたって宇宙開発の歴史に残る貴重な瞬間を写真に収めてきた。おそらく、日本人の多くもインガルズ氏の作品を見たことがあるはずだ。例えば、若田光一さんが国際宇宙ステーション(ISS)から帰還した際にも、インガルズ氏が元気な姿を撮っている。そんなインガルズ氏の写真で、宇宙開発の歴史を語る様々な瞬間を見ていこう。

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数々の傑作写真をものにしてきたインガルズ氏。しかし彼は、今も実に謙虚だ。「30年もあれば大量の作品を撮ってきたはずですが、実際のところ『ああ、そういえばこの写真はいい出来だった』と思い出すのは、ここ5~10年くらいの作品です」

2011年11月22日、カザフスタンの荒野に着陸する宇宙船ソユーズTMA-02M。現場に到着するロシア人スタッフが見える(PHOTOGRAPH BY NASA/BILL INGALLS)

始まりは、大学時代のインターンシップ。インガルズ氏は米国ペンシルベニア州ピッツバーグで生まれ育ち、近隣のウェインズバーグ大学でビジュアルコミュニケーションなどを学んだ。「TVが私の初恋でした」と語る同氏は、NASAでのインターンシップで、ライター、テレビ制作の仕事をするかたわら、写真も撮影していた。

卒業後、しばらく教師の仕事をした後で、インガルズ氏は自分がNASAに戻りたいと願っていることに気がついた。彼はNASAに毎週電話をかけて、なにか仕事はないかと尋ねた。そしてついに、幸運が訪れた。

着陸したソユーズTMA-02M。国際宇宙ステーションでの5カ月半のミッションを終えた乗組員たちが地上に降り立つのを、スタッフが手助けする(PHOTOGRAPH BY NASA/BILL INGALLS)

「彼らはきっと私の電話に嫌気が差して、いいから机をやっておこう、隅の方に座らせておけばいい、とでも思ったんでしょう」と彼は言う。

インガルズ氏は、二つの仕事のどちらかを選ぶよう言われた。フォトリサーチャー、またはフォトグラファーだ。フォトグラファーのポジションは、アポロ計画の時代にこの仕事を独占していたビル・タウブ氏が去った後、影が薄くなっていたという。フォトグラファーを選んだインガルズ氏は、カメラ用品のキャビネットへ案内された。そこには、タウブ氏が使っていた装備がたくさん残されていた。

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