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長寿企業を変える

職人をコンサル、日本の工芸を元気に 中川政七商店 中川政七商店(上)

2019/3/5

中川政七商店の千石あや社長。18年に当時社長だった13代中川政七さんから「後継指名」を受けた

中川政七商店は、1716年から奈良市で手織りの麻織物を商ってきた老舗企業だ。卸売りから、自ら作って売る製造小売業(SPA)へ転換し、布製品中心の「遊中川」や暮らしの道具を扱う「中川政七商店」などの店舗を全国に展開する。その傍ら、同社が力を注ぐのが工芸分野の中小企業向けコンサルティング事業だ。「日本の工芸を元気にする!」というビジョンを掲げ、全国の産地復興にも奔走する。

■自社のノウハウ活用、中小メーカーの経営指南

中川政七商店が2011年から開いている工芸品の合同展示会「大日本市」。ほのかにみやびやかな香りを漂わせていたのは、1594年創業の日本最古のお香の老舗、薫玉堂(京都市)のブースだった。「醍醐の桜」「音羽の滝」など京都の名所から名付けた商品が来場者の目を引く。

薫玉堂も、かつては本店の向かいにある西本願寺などに納める線香が中心だった。ブランドマネージャーの負野千早さんは「線香の市場は右肩下がり。なんとかしなければと、かわいらしいものも作ったけれど、雰囲気もばらばらで全くダメでした」と振り返る。

そんな薫玉堂を変えるきっかけになったのが、娘が持ってきた一冊の本だった。中川政七商店の前社長で、現在は会長を務める13代中川政七さんの「奈良の小さな会社が表参道ヒルズに店を出すまでの道のり。」(日経BP社)だ。

先代社長で現在は会長を務める13代中川政七さん。製造小売業への業態転換など、老舗の大胆な改革を進めてきた

14年、負野さんは中川さんにコンサルティングを依頼した。「膨大な宿題でしごかれました」と笑う。商品案を出しても「もっと商品のストーリーを語れるよう組み立てないと」と何度もダメ出しされた。苦闘の末、名所をモチーフにしたお香、京都の四季とお香の原料を組み合わせたハンドクリームやせっけんのシリーズなどが誕生した。

「日本の工芸を元気にする!」。13代中川政七さんが打ち出したビジョンは、そのまま同社の変革のストーリーであり、日本に数多くある工芸の中小企業の苦境を映す。

中川さんは富士通に勤めた後、02年に家業である中川政七商店に入社した。当時は茶道具と雑貨の2部門があり、茶道具では利益が出ていたが、雑貨は全く採算が合っていなかったという。

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