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「話すベンツ」未来どうなる 開発者はたまごっち世代

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NIKKEI STYLE

新型メルセデス・ベンツAクラスに初搭載された、新世代音声対応式インフォテイメントシステムのMBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)。「ハイ!メルセデス」と呼びかけると、内容に応じた機能が動作することが話題になった。2019年1月の電子機器の見本市「CES(Consumer Electronics Show)」会場で、MBUX開発を担当する「ミスターMBUX」ことジョージ・マッシング氏に、開発の背景や今後の進化について、小沢コージ氏が話を聞いた。

目的は操作をシンプルにすること

小沢コージ(以下、小沢) 初めまして。ユーザーインターフェース担当ということですが、もしや2018年Aクラスに初導入されたMBUXを作られたかたですか?

ジョージ・マッシング氏(以下、マッシング) その通り。ドイツの新聞では「ミスターMBUX」と呼ばれてます(笑)。

小沢 あなたでしたか! 日本ではクルマに「ハイ! メルセデス」と呼びかけて話すだけでエアコンやナビ設定ができる、「しゃべるメルセデス」として話題ですが、一体なにをイメージして作ったんですか? もしやロボットアニメとかSF映画の世界とか?

マッシング 違います。主な目的は操作をシンプルにすることです。今や自動車は、ソフトや人工知能(AI)など基本操作以外のテクノロジーが増えて、年々複雑になっています。昔は4つか5つのボタンがあり、音楽を聴きたいときにはそれを押すだけでしたが、今はそうはいきませんから。

小沢 しかしなぜ話題のハイテクをエントリーモデルのAクラスに初搭載したんでしょう。今までだったらフラッグシップのSクラスから投入していたと思うのですが。

マッシング SクラスユーザーよりAクラスユーザーのほうがスマートフォン(スマホ)に慣れていたり、ニーズに合っているからです。

小沢 確かに。私もオジサンになって新しいモノや操作を面倒に感じたり、慣れるのに時間がかかったりしますから。実際、MBUXはメインのタッチスイッチがステアリングの左右に2か所あって、センターコンソールにもタッチパッドがあります。どれをどう使っていいか一瞬分からなくなるんですが(笑)。

マッシング 全部使ってもいいし、使わなくてもいい。もちろんしゃべって操作してもいいんです。

小沢 とはいえ、基本的にすべてはシンプル化の方向にあるんですよね。いつか音声だけですべての操作ができるようになる、と。

マッシング 現状でも運転以外の70~80%の機能は音声で操作ができ、将来的には100%までねらっていますが、その場合、いろいろなことを考えなければいけません。例えば、現在運転席と助手席の声までは拾いますが、後席に座る人もいますよね。そこまで拾えるのが100%の世界です。

小沢 確かに後部座席で寒い! とか感じる場合はあります。

マッシング ただ、絶対に抵触してはいけないのが安全に関わること。後部座席の子どもが「ブレーキ」と叫んだ瞬間に自動ブレーキが掛かる、というようなことがあってはいけないんです。

小沢 音声操作が進化していくとそういう可能性も見えてきちゃいますね。

編集部注 MBUXの目的について、メルセデス・ベンツは走行中の操作をなるべく簡略化することでドライバーの安全を守ることだといっている。「MBUXは、人工知能(AI)の学習能力によってユーザーごとに個別対応ができる。さらにユーザーの情報を蓄積したAIに対する操作が自然な言語で行える。従来の音声認識機能のように決まった命令語でなく、例えば『暑い』と言うだけで車内温度を下げられる。これにより、走行中に無駄に注意力を奪われることなく安全に運転できる。人間が機械に合わせるのではなく、機械が人間に合わせることで、クルマとドライバーに生まれる心の結びつきを目指している」

「アレクサを使えば」という意見もあったが

小沢 現在この手の自動車UX(※UXはユーザーエクスペリエンス、ユーザー体験。システムを通じて利用者が得られる体験の総称。使いやすさ、使い心地、感動、印象などを重視することが多い)ではMBUXが一番ユニークだと思います。それはなぜでしょう? IT界からの人材の引き抜きとか。

マッシング いいえ。私たちがMBUXの開発を始めたときは、アマゾンの「Alexa(アレクサ)」やアップルの「Siri(シリ)」を使い、統合してクルマに搭載すればいいんじゃないか、という話がありました。しかし私は将来ボイスコントロールが重要になると考え、それらが我々のDNAを持っていることが重要だと考えたのです。なぜならアマゾンならアマゾンなりの哲学でアレクサを、アップルならアップルなりの哲学でシリを開発し、ユーザー体験に違いを生みだしています。

つまりMB(メルセデス・ベンツ)はMB独自の哲学でそれを生みだすべきであり、生みの苦しみはありますが、クルマの中で独自の体験をしてもらうために、独自のシステムを開発すべきだと考えたのです。

小沢 ああいうものは進化していくとどれも似たようなものになる、と思っていたのですが違うんですね。違うキャラクターや違う哲学がそんなに生みだせますか?

マッシング 可能です。確かに我々のテクノロジーの背景には外部サプライヤーの技術があり、さまざまな会社からTTS(テキスト読み上げ機能)やNLU(自然言語理解)などのモジュールを取り入れています。それを、我々の哲学に沿った独自のユーザー経験を提供できるものに作り変えていくのです。

ユーザーエクスペリエンスというのは料理と同じなのです。同じ材料を使ってもシェフがどう調理するかで味は違ってきます。そこには5つ星シェフもいれば、2つ星シェフもいるわけで、同じような材料でもうまく調理すればすばらしいソースが作れるのです。

小沢 なるほど! あなたはユーザーエクスペリエンス界の5つ星シェフだと。

マッシング どうでしょう?(笑)

私もたまごっちで遊んでました(笑)

小沢 ちなみに中国はこの手の技術が大好きで、既にユニークなものが出ています。例えば「NIO(上海蔚来汽車)」という新興EVメーカーのクルマはダッシュボード上に「NOMI(ノミ)」というキャラクターがいて、いつでも会話ができます。

マッシング 知っています。ノミは誰かに話しかけているような体験で中国では好評です。日本でもおそらく同様だと思うのですが。例えばアナタは覚えていますか、「たまごっち」を?(笑)

小沢 もちろん。ジョージさんも知っているんですか?

マッシング 私はたまごっち世代です。20年前に登場したあとヨーロッパにもやって来て、当時の子ども達はみんな夢中になりました(笑)。

小沢 つまりあれはアジアスタイルだと?

マッシング そうだと思います。アジア人はああいう小さなデバイスを扱うのがとても好きですよね。

小沢 あのスタイルに驚異は感じていますか?

マッシング 感じてはいませんが、アプローチを注視しなければいけないと思っています。ですから中国にも日本にも韓国にも開発チームを置き、常に気を配っているのです。我々はかつて本社ですべての技術を開発し、それがいくつかの間違いにつながったと感じています。今は現地の要望をちゃんと聞いてそれを反映し、変更しながらやっているのです。

小沢 プレミアムの自動車ブランドとテクノロジーの関係が変わりつつあると感じています。昔は走り味やデザインが大切でしたが、テクノロジーの重要性が非常に高くなっている。特にCASEと言われるハイテクが。 ※注 CASEは、「コネクティビティ(接続性)」「オートノマス(自動運転)」「シェアードモビリティー(共有サービス)」「エレクトリックモビリティ(電動化技術)」の頭文字を取ったもの。

マッシング そこで気を付けなければいけないのは、技術の追究ではなく使い方です。例え高度なテクノロジーがあってもお客様が使えなかったり、インターフェースが難しくては意味がありません。一番の挑戦は良いテクノロジーをベースにいい物をつくり出すこと。お客様の体験として新たに創出することなのです。

小沢 それが新しい自動車プレミアムなのだと。

マッシング その通りです。

小沢コージ
自動車からスクーターから時計まで斬るバラエティー自動車ジャーナリスト。連載は日経トレンディネット「ビューティフルカー」のほか、「ベストカー」「時計Begin」「MonoMax」「夕刊フジ」「週刊プレイボーイ」、不定期で「carview!」「VividCar」などに寄稿。著書に「クルマ界のすごい12人」(新潮新書)「車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本」(宝島社)など。愛車はロールスロイス・コーニッシュクーペ、シティ・カブリオレなど。

(編集協力 北川雅恵)

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