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『十二番目の天使』にちりばめられた言葉(井上芳雄)

第39回

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NIKKEI STYLE

井上芳雄です。3月16日からシアタークリエで上演される演劇『十二番目の天使』に出演します。その稽古の真っ最中です。家族を亡くした男と、秘密を抱えた少年の物語で、絶望から希望へと人がどうやって前に進んでいくかを描いた作品です。宝物のような言葉がたくさんちりばめられています。

原作はオグ・マンディーノの世界的ベストセラー小説で、その初舞台化になります。僕が演じるのは、ビジネスで大成功を収めた男ジョン。故郷に戻って新生活を始めようとした直後、妻と息子を交通事故で失います。絶望の淵にいたジョンは、幼なじみに頼まれて、地元の少年野球チームの監督を引き受けることになり、ティモシーという少年と出会います。チームの12番目のメンバーである彼は体も小さく、運動神経も良くないのですが、あきらめることなく練習に励みます。その姿を見たジョンは、チームの練習とは別にティモシーに個人練習をつけることを提案。ティモシーのがんばりに触発されるように、チームは快進撃を続けるのですが、彼にはある秘密があった…という話です。

原作を読んで、とても感動的な話で、いろんな人にとって慰めや希望になるだろうと思いました。普通の小説と違うのは、単に物語が進んでいくのではなく、セリフだったり先人たちの名言だったりで、どう生きていくかのヒントとなる言葉がたくさんちりばめられていること。原作者自身、波乱に富んだ人生を送っていて、その経験などを基に多くの自己啓発書を書いている作家なので、そうした要素が強く含まれています。

劇中でも、ティモシーが「僕は絶対、絶対、絶対、絶対あきらめない」と言ったり、ジョンの父親が残した本の中に、米国の政治家ベンジャミン・フランクリンが葬儀の席で語った「悲しむことはないんだ。自分たちは喜びのパーティーに招待されていて、順番が来たら逝っているだけなんだから」という慰めの言葉があったり、いろんな形で宝物のような言葉が出てきます。

自分たちの毎日に使える言葉や物語

ティモシーは「自分は毎日あらゆる面でどんどんよくなっているはずだ」とも言います。僕は昨年、バラエティー番組に出たとき、占師の方に「あなたは日々進歩しない人のことは好きじゃないよね」というようなことを言われたのですが、それを思い出しました。僕も日々よくなりたいと常々思っているし、もし体調が悪かったとしても、そこから何か学ぶことはないかと考えるタイプです。言霊というか、口にすることで実際にそれが実現することもあると思うので、ティモシーの言葉に共感できました。

僕は、自分たちの毎日に使える言葉や物語にすごく引かれるし、演劇はそれを伝えるものでありたい、とも思っています。今回の舞台化は、メッセージを伝えることに重きを置いた感じのちょっと不思議な舞台になっているように思います。

ジョンは40手前という設定なので、今年39歳の僕とほぼ同い年。人生の状況も似たところがあります。だから突然、妻子を亡くした彼の気持ちは想像できるし、分かるところもあります。でも、本当の意味でどんな絶望を感じて、どういうふうに回復の過程を経験するのかは、うわべの想像では追いつかないんじゃないかという気がしています。

そこが今回の役が難しくて、でもやりがいのあるところです。いろんな絶望があるでしょうし、いろんな立ち直り方があると思うから。ずっと泣き暮らすかもしれないし、端からはそれほど悲しそうに見えないかもしれない。自分だったら、と考えるのは一番簡単ですが、完全に僕というわけではなく、ジョンという人間なので。そこのあんばいを稽古の中で手探りしている最中です。「そうだよね、悲しいよね」ということがお客さまに自然に伝わる演じ方ができればいいなと。

人は、人に救われる

やはり人は、人に救われるんですね。自分一人で前に進むことが難しいときもあるけど、周りの人たちの支えで前に進めるんだということを感じます。そして、自分たちに与えられた命の長さを全うするまで、一生懸命生きないといけない。

生きるというのは、つらいことや苦しいことのほうが多いと思います。そのときにどうやって少しでも楽しく、笑いながら過ごせるか。こういう考え方があるよ、こういう人がいたよ、というのを見せるのが、僕たちがやっている演劇や物語だと思うんです。

今回は舞台のつくりも、リアルなものばかりじゃなくて、象徴化されたものも使っています。机があって、椅子があって、ベンチがあって、野球場も出てきます。どこかおとぎ話的な雰囲気もある中で、お客さまが実感を持って、共感して見ていただけるようなお芝居ができたらいいなと思っています。

井上芳雄
1979年7月6日生まれ。福岡県出身。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。大学在学中の2000年に、ミュージカル『エリザベート』の皇太子ルドルフ役でデビュー。以降、ミュージカル、ストレートプレイの舞台を中心に活躍。CD制作、コンサートなどの音楽活動にも取り組む一方、テレビ、映画など映像にも活動の幅を広げている。著書に『ミュージカル俳優という仕事』(日経BP社)。

「井上芳雄 エンタメ通信」は毎月第1、第3土曜に掲載。第40回は3月16日(土)の予定です。

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