元お笑い芸人で、人材研修などのコンサルティングを手掛ける中北朋宏氏に、相手の心をつかむ「愛され対話術」を紹介してもらうシリーズ。最終回となる今回は、お笑い芸人が持つ「面白がる力」に焦点を当て、ポジティブに生きるためのヒントを探ります。
コンサルタントという仕事柄、企業研修を依頼されることが多くあります。研修の場でご一緒させていただく中で、自己肯定感が低く、自分をちゃんと認められない状態に陥っている方が意外に多いと感じています。家庭環境が影響しているのか、学校生活などが原因なのかは分かりませんが、「もっとすてきな人生になるのにな」といつも思います。
自己肯定感が低い方は自分の短所に目を向ける傾向があり、「何で私はこんなこともできないんだろう」と自分をとがめます。一方、自分ができていることに対しては疑いの目を向けています。
お笑い芸人も同じように短所に目を向けています。ただ、目の向け方が全く異なります。なぜかというと、短所とは自分のセールスポイントになりうる重要な部分だからです。
コンプレックスは最大の武器となる
日本では学校でも職場でも、長所を伸ばすより、短所を改善しようとする傾向があります。これは言い換えると、人が持っている能力の偏りやデコボコを滑らかにしてくださいと言っているのに等しいのではないでしょうか。その行為は自分らしさを失わせると私は思っています。
お笑い芸人という職業は、コンプレックスを武器として戦うことができる職業です。無知であることで笑いを取ったり、はげていることを武器にして漫才の大会で優勝したり。アホだから、デブだから、というネガティブな要素をポジティブに変換しています。