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あまおう以来の注目株 新顔イチゴ3種を食べ比べ

栃木スカイベリー・大分ベリーツ・佐賀いちごさん

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NIKKEI STYLE

イチゴの季節真っただ中! 近年、新顔イチゴが続々とお目見えしています。16年前に福岡県で「あまおう」が発売され新種として有名になりましたが、それに続けと全国のイチゴ産地から競うように新品種が登場しており、今や300近くも品種があるといわれています。それぞれがどんな個性を持っているのか? 本格出荷が5年以内の新顔イチゴの中から、話題になっているものを集めて実食してみました。

ぜいたくな大きさ! 手のひらサイズの「スカイベリー」

50年連続でイチゴ生産量日本一である栃木県。2014年に本格出荷が始まった「スカイベリー」は年間2万トンを出荷する「とちおとめ」に比べ出荷量こそ少ないものの、きれいな円すい形で大ぶりな実が特徴的で注目を集めています。

【ここがポイント!】
・5センチ以上でかなり大粒。重さもずっしり
・甘みがしっかり。果肉がやわらかくジューシー
・贈答用イチゴとしておすすめ

スーパーのイチゴパック2パック分くらいの大きめ箱に、美しく形のそろった12粒が並んでいます。箱から取り出すとイチゴとは思えない大きさにまず驚きます。縦5センチ以上もあり、ずっしりと重みも感じられます。

一口かじると、大粒な外見からは想像できないほど果肉がとても柔らかいのにびっくりしました。それにジューシーで舌触りが滑らか。イチゴなのに、しっかりとほおばって丸かじりをしている感覚が不思議でした。甘みがとても強いのに酸味が少なく、口いっぱいに芳香と甘みが広がります。

栃木県には、全国で唯一のイチゴ専門の研究機関「栃木県農業試験場いちご研究所」があります。そこで開発着手から17年の歳月をかけて様々な交配を試し、10万株の中から選び抜かれた品種が「スカイベリー」です。「スカイベリーとは、大きさ、美しさ、おいしさの全てが大空に届くような三ツ星イチゴです」と栃木県農政部経済流通課の岡本優さん。

「『ハレの日』に楽しむイチゴとしてスカイベリーを味わっていただけたらと思います。大切な人への贈り物、時には自分へのご褒美として、活用いただきたい」(岡本さん)とのことです。

ふわっと甘く香る、華やかな「ベリーツ」

17年12月に市場デビューした大分県の「ベリーツ」。18年11月には、2期目スタートのセリで、贈答用の12粒のボックスが10万円という高値を付けたことでも話題となりました。

【ここがポイント!】
・華やかないい香りと、バランスのよい甘味・酸味
・真っ赤でツヤツヤな見た目がキレイ
・アイスや焼き菓子にも使える

こちらのイチゴも通常スーパーで見かけるイチゴより大粒で、少し長めの円すい形でとても美しい印象です。赤がとても濃く、ツヤツヤ。一口食べてみるとすぐ、イチゴとは思えないような華やかな香りがふわっと広がることに驚きます。甘みと酸味が濃くバランスよく味わえ、ぜいたくな味わいです。

大分県では「さがほのか」の栽培が盛んでしたが、特に12~2月の冬場にたくさん取れて赤色が濃く、糖度が高いオリジナル品種を求めて、新種イチゴの開発に着手。「さがほのか」と「とちおとめ」とかけ合わせた株に「かおり野」という品種を交配したもので、『「スイーツみたいなストロベリー ベリースイーツ」とPRしています』と同県農林水産部おおいたブランド推進課の小野純一さん。

「『ベリーツ』はプレゼントにも最適です。オシャレなシャンパングラスに浮かべて、眺めて、飲んで、食べて楽しんでいただきたい」と小野さんは話します。「香りが特徴的なことからアイスや焼き菓子、ドライフルーツにも向いています。今年2月には香港デビューも果たし、評価も上々」とのこと。

今シーズン市場デビューした新顔「いちごさん」

18年11月に初出荷・初競りが行われたという「いちごさん」は、佐賀県が「さがほのか」以来20年ぶりに開発した新ブランド。パックに描かれたボブの女性のシルエットが目印。今シーズン順次全国の市場へ出荷され、大阪中央市場での競りでは贈答用1パックに15万3000円という驚きの高値がついたそうです。

【ここがポイント!】
・かわいくて真っ赤。イチゴらしいイチゴ
・優しい甘さ、ほのかな酸味
・果肉まで赤くて加工にもおすすめ

パックから取り出してみると、大きさは普通くらいのサイズ。かわいらしい円すい形がキレイにそろっていて、赤が弾けるように鮮やかです。食べてみると果肉がみずみずしく、優しい甘さ、ほのかな酸味がバランス良く、スッキリとした後味。ふわっとイチゴらしい甘い香りが鼻孔に抜けるのも心が和みます。

全国的にイチゴの品種が競って開発される中、佐賀県でも「いちご次世代品種緊急開発プロジェクト」を10年にスタート。「最もイチゴらしいイチゴ」を目指して7年の歳月をかけ作られたのがこの「いちごさん」です。「凛(りん)とうつくしい色と形、華やかでやさしい甘さ、果汁のみずみずしさが特徴です。パッケージのボブの女性は、凛とまっすぐ芯のある女の子をイメージしています」と佐賀県流通・通商課の荒平愛佳さん。

「日本全国のみなさんに、選ばれるイチゴにしたいと思っており、通常の食卓だけでなく、贈答用やスイーツなどの加工品としてみなさまに食べて楽しんでいただきたい」と荒平さん。「いちごさん」は断面が赤く、甘味と酸味のバランスが良いイチゴなので、スイーツやカクテルなどの加工品としても幅広く活用されているということです。

今や店頭には、日本全国の産地やブランドごとに様々なイチゴが並ぶようになってきました。個性豊かなイチゴを、シーンに合わせて選ぶなど、新たな楽しみ方ができそうですね。

(※今回入手した果実についてのリポートです。収穫時期や条件によって異なります)

(取材・文 GreenCreate)

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