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言葉の使い方を間違えて相手に誤解されてしまった。そんな体験はどなたにもあると思います。日本人向けの英語教育で豊富な経験を持つデイビッド・セインさんが、日本人が間違えやすい英語の使い方を解説します。今回は、「~させる」と言うときに気をつけたい表現について見てみましょう。

◇  ◇  ◇

勉強するときはいつも完全を目指す。しかし会話をするときは通じることを目指す。これが英会話には必要なポイントです。相手を前にして英語を話すときは、完璧な英語でなくても構いません。間違いがあってもいいのです。フレンドリーに笑顔で話せば、不完全さは補われます。間違いを恐れず英語を話しましょう。そして勉強するときは完全を目指しましょう。

いつものオフィスでの雑談。ヒロシは昨日の面白い出来事について話すつもりでした。「友人がジョークを言って、ぼくを笑わせてくれてね」と、軽い前振りで伝えようとしただけなのに、なぜか同僚のナンシーは怪訝な顔をしています。彼女には、なんだかちょっと怖い話のように思えたようです。はたして、すれ違いはどこで起きたのでしょうか?

それはこんな会話でした。

Hiroshi: Yesterday, my friend forced me to laugh at his jokes.
Nancy: Why did he do that?
Hiroshi: What do you mean?
Nancy: Why did he force you to laugh?
Hiroshi: Because he was really funny!
Nancy: ...Oh?

実は、ヒロシはこう言っていたことになるのです。

ヒロシ:きのう、友人がぼくにジョークを笑えと無理強いしたんだ。
ナンシー:なんでそんなことしたの?
ヒロシ:と言うと?
ナンシー:なんであなたに笑うように無理強いしたの?
ヒロシ:だって、あいつは本当に面白いんだもの!
ナンシー:…えっ?

日本語には、「~させる」という使役の表現に関して、「~させてくれる」という肯定的な意味を表す言い方があります。ところが、英語にはこれにぴったり対応する単語がありません。逆に、ヒロシのようにforceという単語を使うと、ネガティブに聞こえてしまうのです。動詞のforceは、〈force A to do〉の形で「Aに~させる」を示す使い方ができるものの、この場合は「~させる」といっても「強いて~させる」という強制が伴います。ですからナンシーは、ヒロシの友人が面白くないジョークを笑うように命じたと理解してしまいました。

forceは名詞として「力」の意味がありますので、動詞としては「力をもって無理に何かをする」ことを表します。force a smileなら「無理に笑顔を作る」ことで、a forced laughなら、無理に作った笑い、つまり「作り笑い」です。もしforceの語を使って「~してくれる」という良い意味での使役を表現したければ、たとえば次のように使います。

・When Carson left for his long military assignment, he knew his mother was forcing herself to smile for his sake. カーソンは長い軍務に出発するとき、母が無理してほほ笑んでいることを知っていた。

では、どう言えばよかったのでしょうか?

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