平均5.4年の追跡で、心血管疾患の発症または心血管疾患による死亡(これらをまとめて「心血管イベント」)は、205人に発生しました。うち127人は追跡終了まで生存していました。あらゆる死因による死亡(総死亡)は、平均10.5年の追跡期間中に276人に発生していました。

登録時の調査では、全体の27%(3438人)がレジスタンス運動を実施していました。レジスタンス運動を全く行っていなかった群と比較すると、レジスタンス運動を行っている群には男性が多く、年齢は若く、非喫煙者が多く、有酸素運動の実施者が多く、BMI(肥満度を表す体格指数)は低く、さらに、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、親が心血管疾患を経験している人の割合も少なくなっていました。

レジスタンス運動の頻度または実施時間に基づく各分類群を対象に、レジスタンス運動の実施が「心血管イベント」、「心血管疾患による死亡」、「総死亡」に及ぼす影響を検討しました。結果に影響を与える可能性のある要因(有酸素運動実施の有無も含む)を考慮して分析したところ、統計学的に意味のあるリスク減少が見られたのは、「週に1~2回程度、計60分未満(1~59分)のレジスタンス運動」でした(表1)。各評価項目で、35~70%のリスク減少が認められました。

(Liu Y, et al. Med Sci Sports Exerc. 2018 Oct 29.)

横軸をレジスタンス運動の頻度、縦軸をリスクの大きさとしてグラフを描くと、どの評価項目についてもU字型のカーブが現れ、週に2回程度レジスタンス運動を行っていた人のリスクが最も低い傾向が見られました。

有酸素運動の有無にかかわらず筋トレは効果的

Liu氏らは、ガイドラインが推奨しているレベルの有酸素運動を実施している人々とそうでない人々を分けて検討しましたが、上記の「心血管イベント」と「心血管疾患による死亡」のリスク低下は、有酸素運動の実施の有無にかかわらず認められました。一方で、「総死亡」については、ガイドラインが指示するレベルの有酸素運動と並行してレジスタンス運動を行っている人についてのみ、リスク減少が認められました。

たとえ週1回でも、または、1週間に1時間未満でも、レジスタンス運動を行うことは、心筋梗塞や脳卒中の予防に役立ちそうです。

論文は、2018年10月29日付のMedicine & Science in Sports & Exercise誌電子版に掲載されています[注2]

[注1]MET(またはMETs):身体活動の「強度」を表す単位で、安静時(座って安静にしている状態)を1METとし、それぞれの身体活動がその何倍の強度に相当するかを示す。普通歩行は3MET、ジョギングは7METに相当する。5METの運動を100分行うと500MET-分となる。

[注2] Liu Y, et al. Med Sci Sports Exerc. 2018 Oct 29. doi: 10.1249/MSS.0000000000001822.

大西淳子
医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

[日経Gooday2019年2月20日付記事を再構成]

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